恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.1

腹の虫 ページ5

くそぅ……。


やっぱりこんな時間にって良くないよ。


生活スタイルが不規則過ぎるから、そんなに食べてないのに太るんだ。


あ、でも……今日家でも食べてこなかったのに。


腹の虫が急に騒ぎ立てるけど、優君がもう二つ目のオムライスに手を出していて。


……諦めるか。


シュンとして店から出ると、煌々と照らされる飲食店の看板たちが私の意識を誘う。


ファミレス、パスタ、ラーメン、牛丼……


ん？牛丼？？


もうずいぶん長いこと食べていない牛丼ちゃんが、私を誘惑してくる。


長い葛藤の末……




A「並みだけなら……良いよね？」




自分にそう言い聞かせて、初代牛丼屋さんに足を踏み入れる。


こんな時間帯のせいか誰もいない。


静かに入り口近くのカウンターに腰かけると、並みひとつ、と呟くように注文した。




店「並み、一丁〜」




こっそりと言ったのに、店員さんのバカでかい声でそれも台無し。


ま、誰も居ないから良しとするけど。




「あ！」




だけど、居ないと思ってたのは勘違いで、反対側の椅子とテーブル席の方に男が二人。


一人が私を見つめて手を振っていた。




藤「俺だよ、俺！」




古くさいナンパの文句ようで顔をしかめてしまう。


そして、その男を凝視すると……。




A「あ！電車のホスト君！！」




今度は私の言葉に顔をしかめたその人。




藤「ホストってなんだよ。俺ホストじゃねーし」




「ブハハハッ！ホストだって！！見える！ホストに見えるっ！！あーーー腹痛い」




口を滑らせてしまって、しかもホストじゃなかったことに青ざめる。


隣の男は、私の心情など露知らず大爆笑…。




藤「取り合えず、こっち来て一緒に食べようよ」




怒ってるのか、怒ってないのか、彼は手招きをしながらそんなことを言った。

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