恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.1

冗談キツイ ページ36

藤ヶ谷side



何も……言えなかった。




───バカにしてたんでしょ？！一般人の何も知らない女って！




そう受け取られても仕方がない。


そんなにも彼女を傷付けていたんだと思うと、何も言えなくて。


黙ったままでいると、そのまま走って行ってしまった。


動かない足。


追い掛けても、掛ける言葉が見つからないから。




玉「あーあ、何やってんの」




藤「なんだよ」




わざわざ外に出てきて、野次馬しにきたタマを睨んだ。




玉「こーゆー場合は引き寄せて抱きしめる、でしょ」




……お前に言われたくない。


涼に何も出来ないクセに、と心の中で突っ掛かった。




藤「そーゆーんじゃないって」




玉「あれっ、そうなの？追い掛けたからてっきりそうかと思った」




藤「違うって。ただ……俺が最初に言ってたらこんなことになんなかったから」




玉「ふーん……ま、ちょっと時間置いた方がいいんじゃない？今は熱くなってるから、冷静になってから会いに行けば？」




藤「何で俺が会いに行かなきゃなんないんだよ」




玉「家にある荷物どうすんの？届けてあげないと」




あぁ……そっか。


って言っても住所とか知らないし。


それ以前に会わす顔がないというか……。




玉「好きなんじゃないの？」




藤「渉がね」




玉「三角関係かと思ったわ」




藤「ふはっ……ジョーダン」




……冗談キツイ。


そう思っていた。


三角関係なんて、ドラマじみた泥沼なんて真っ平だし、そんなの一切無関係だと。


本当に、この時は思っていたんだ。

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