恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.1

宝の持ち腐れ ページ12

藤ヶ谷side




藤「いらっしゃい」




大きな荷物を抱えてやって来た彼女は、以前の雰囲気と異なり、大人っぽい感じだった。




……あ、メイク。




そっか、あの日と違ってバッチリメイクなんだ。


結構違うんだな、なんて失礼にも思ってみたり。




藤「鍋とかフライパンは一応あるんだけどね、調味料は必要最低限しか……」




スリッパを差し出すと、ありがとうございます、とご丁寧に頭を下げて礼を言われて。


好意を持ってる女の子を家に入れる時と、当たり前に何となく空気が違う。


パリッとした緊張感が辺りを漂っている。


そんな雰囲気の中、彼女をキッチンまで無言のまま通すと……




A「うわわわわわ！！何このキッチンは！！ひっろーい！超きれーい！！宝の持ち腐れ！！！」




藤「宝の持ち腐れって……間違ってはいないけど」




アクセサリーや靴を選ぶ時のテンションで、異様に興奮している様子。




A「この感じからすると……料理はしないのかな？」




藤「んー、しない。作るのは嫌いじゃないけど、後片付けが好きじゃないから作んない」




A「折角こんなに立派なのに……使ってあげてないなんて可哀想」




犬や猫が捨てられている姿を眺めているかのように、同情の目で小綺麗なキッチンを見渡している。


キッチンを可哀想だなんて、さすが料理人……。

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