恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.1

王子様…みつけた。 ページ11

Aside



彼らと別れてから弾む心に連動して走り出した。


そのまま駆け抜けて、終電に飛び乗る。


金曜日の終電はおしくらまんじゅうの如くひしめき合っていて、カーブにかかるにつれて後ろのオッサンの体重がかかって痛い。


いつもなら苛々するけど、今は痴漢に遭ったとしても許しちゃう。


だって！だって！！




A「見つけた……」




長いことかかって、ようやく巡り会った。


フラリとやってきて、ペロリと大盛の牛丼を平らげた、私の王子様。


ドストライクの容姿と、ふわふわした雰囲気。


彼のことを一目見ただけで、ビリビリと感じてしまったんだもん。




A「肉とアボカド……ってどんなのが良いんだろ」




逆に満員電車の方が良かったのかもしれない。


足腰に力を入れずに、オッサンに寄り掛かれば直立することができるし。


考え事するにはもってこいだ。




……アボカド好きとか、女の子みたい。




……肉ってやっぱり、ガッツリ系？




……そういえば、名前聞いてなかったな。




……彼女とか……いるよね。




次から次へと浮かぶ、彼のこと。


軽くやります、なんて言ったものの、居酒屋の仕事と被ったらどうしようと思い始めた。


ま、なんとかなる。


というか、なんとかするしかない！




───○○駅〜○○駅〜




スキップでもしだすんじゃないかというような軽い足取りで、外灯が照らされた深夜の道を帰って行った。


それから何日か後に横尾さんから連絡があって。


パーティーとやらの日付の希望を聞かれたから、仕事が休みの日を指定出来たことに一安心。


数日は仕事が終わってからの時間は、メニューを考えたり、必要な調理器具や調味料を用意したりで忙しく過ごして。


ふとした瞬間に、あの王子様のことを想うと胸が疼きだしたりもした。


自分に任せてもらえる料理と、王子様に会えることが嬉しくて嬉しくて仕方がなくて……。


……そして、あっという間に当日。


本日は晴天なり……最高の料理日和。

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