恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.1

推定、ホスト君。 ページ2

誰かが私の前に立った気配がして、うっすら目を開けて靴をみる。




……ハイブランドの高そうなスニーカー。




一体どんな人がこの靴を履いてるのか興味が湧いて、徐々に視線を上へずらしていく。


それも、薄目のまま。




……わ、ホストっぽい。




綺麗に髪がセットされていて、サングラスをかけている若い男。


年齢に見合わないハイブランドの靴から、夜の仕事をしてるように彷彿させた。




……ふーん、服もいいの身に付けてる。




服もと思いきや、時計までもが一般人には手が届かない代物。




……この男、一体何者？




普通なら、舐めるような視線に嫌な気分になる筈なのに。


彼のサングラスの越しの目が優しげに微笑んだ。




A「それ、カッコイイですね」




思わず、高そうな時計に目をやりながら声を掛けた。


それ？と彼はキョトンとしている。




A「時計です」




あぁ、これ？と言ってから、また柔らかく笑った。




「ありがとう。貰い物で、気に入ってるんだ」




貰い物……というか、貢ぎ物？


なんて、心の中で訂正してみる。




A「ふふっ、その方めちゃくちゃ太っ腹ですね」




「うーん、かなり太っ腹だよね。あ、俺ここだから」




見ると、私の店がある駅。




A「私もここ！」




二人して慌てて下車すると、何故か肩を並べて歩き出す。




「もしかして、俺のこと知らない？」




A「……どういう意味ですか？」




某有名ホストクラブのナンバーワンとか？




「ま、知らないなら別にいいや」




A「あっ！時間！！遅刻しちゃう！！それじゃまた！」




また、なんてあるわけないのに、そんな挨拶を交わして走り出す。


タイプじゃないけど……


ちょっとだけイケメンだったな、なんて思いながら。

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