恋レシピ〜How to make LOVE?〜No.1

孤独のお姫様 ページ1

Aside



ずっと夢をみていた。


私を迎えに来てくれる、とびきり素敵な王子様。


白馬に乗って、颯爽と駆けてくる。


それでいて、白タイツで金髪で……。


なによりも、お金持ち。


………そんなおとぎ話、聞いて呆れる。


ゴージャスできらびやかな王子様は、美人でおしとやかなお姫様と既に結ばれてるに決まってるんだから。


余り者の私は、くたびれた小人の誰かとくっつくしか他に選択肢はない。


28歳、独身、彼氏なし、三十路ぎりぎりの絶望的な私。


何も良いことがないけれど、仕事には向かわなければ。


孤独な老後の為に貯金もしなきゃいけないし、ね。




A「ぎゃーっ！遅刻！！」




鳴らなかったアラームを恨みつつ、五分で用意を済ませて家を出た。


いつもより一本遅い電車に飛び乗って呼吸を整える。




……最悪。




車内の窓に映るのは、起きたばかりの疲れきった私。


化粧も軽くしか出来なかったし、ご飯も食べれなかった。




……はぁ……本当に最悪。




一本ズレただけで、ガラリとした電車。


大体はラッシュにぶつかって満員に近いのに、ポツリポツリと座席が空いている。




……疲れたし、ちょっとだけ座っちゃお。




いつもは本当に必要な人の為に座らない。


わざわざ譲るのも気恥ずかしいし。


たまたま空いた一番端の席に腰かけて、店のある駅まで少し眠ろうと目を閉じた。

推定、ホスト君。→

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