子犬のワルツ ◯ Ninomiya.K

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カランカランと来客を知らせる鈴の音



だけど

ドキドキもキュンキュンももうしない



だってあの日を境に




二宮さんは来なくなった





「Aちゃーん、ここ珈琲2つね！」


『あ、はい。今お持ちします』





挽き立ての豆をセットすれば

香る匂いは2週間前と同じなのに



心は落ち着かなくて

頭の中もぐっちゃぐちゃ





『もう…2週間もたつんだ、』





二宮さんがドラマをやる話は知ってた





和也「オレが教師ってどうよ(笑)永遠の17歳とか言われてんのによ？」


『でも野球のお話なんですよね』


和也「そーそーそれが唯一の楽しみっつーかね。グラウンドで野球なんて久しぶりだもんなぁ。ほらやっぱり草野球とは訳が違うからさ」


『ふふ、張り切りすぎてアキレス腱切ったりしないでくださいね(笑)』


和也「おいこら(笑)」





キラキラした顔で

「頑張るからオンエア見てね」って

ふんわり笑顔で

「疲れたらAちゃんの珈琲飲みに来るからさ。癒してよ」って



そう言ったのに



最初こそ

きっと忙しいんだって思うようにしてたけど



考えれば考えるだけ惨めで




あんなキスしなきゃよかった

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