BD７２ ページ23
｢ーっ｣
思いっきり突き飛ばして離れて。
先輩が逃げるように部屋を出てったのをただ呆然と見るしかなかった。
｢……最、低｣
涙で濡れたワイシャツの袖で何回も何回も唇を拭いて。
何がいけなかったの？
何でこうなるの…
？｢みーちゃった！｣
｢ーっ｣
その声は絶望に突き落とす声だった。
遥｢やっぱ〜村上さんとできてたんだ｣
｢そんなわけっ、全部、見てたの、？それなら違うってわかるでしょ！｣
遥｢見てたよ？ぜーんぶ。けど、何を言おうが私の勝手じゃん？｣
｢……え｣
相変わらずずっとニコニコ笑顔なままなのに、声だけはいつもよりずっと低くて。
遥｢村上さんとAちゃんがあつーいキスしてた！って言えば、二宮先輩なんて思うんだろうね？｣
｢っ、何言って！そんな嘘でも広めたら｣
遥｢そーだよね？だってこの事実、村上さんと私しか知らないんだもん。｣
……最低、、
｢何でこんなことするの、何か私悪いことした？翔先輩の事も、二宮先輩の事も何で邪魔ばっかするの｣
そう言うとニヤッて笑って。
遥｢だっておかしくない？一緒にここの会社入ったのに大きな仕事任せられて信頼されて？会社で人気の彼氏もいて、別れさせたと思ったらまた付き合って？なんの冗談？｣
ガンって近くの机を蹴っ飛ばしてグッて私に近づいて。
遥｢今のこと話したら、先輩からの信頼も、大きな仕事も？だーいすきな彼氏も。全部失うね？｣
じゃあ覚悟しといてねーって言って村上先輩と同じ方向に帰ってって。
ポタポタと落ちる涙にただ座り込んだ。
何でいつもこんなに私は弱いんだろ、
迷惑をかけない強い人間になりたいのに
なんで……
ほんと、どうすればいいのさ…
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作者名：ハチミツ
| 作成日時：2019年6月8日 0時
