過去と、秘密と、闇と、光と。 -２nd -

＃５３ ページ21

彩ｓｉｄｅ

「なんで、あいつにいじめられてたことを話してくれなかったの？」


翼の問いに、自分に対しての、ため息が出た。


そして、自嘲的な笑みとともに、口を開いた。


『・・・なんでだろうね。
言ったら、私じゃなくてあなた達にも手を出すと、脅されてたからっていうのもあるけど、
きっと、みんなだったらそんなの気にしなかっただろうし、負けなかったよね。』


翼が私に問たモノは、あの日以来、ずっと、私も私自身に問い続けては、


迷子のように、答えを見つけられないでいるモノだ。


『・・・・ほんと、なんでだろ。』


小説やドラマに出てくるような、悲劇の少女になりたかったから？


立花彩(わたし)が消え去っても悲しむ人を出したくなくて、悪役に徹したかったら？



・・・・違う。



きっと、守られてばかりじゃなくて、自分でも彼らを守れるんだって、証明したかったんだ。


つまりは、私の見栄と自己満足。


そして、自分の弱さを否定したかっただけだ。


それが解かった途端、ここ数年、１度たりとも晴れなかったモヤが、すっと晴れた気がした。


「アーヤ？」


ずっと黙っていたことを心配してくれたのか、小塚くんが問いかける。


『・・・やっと解かったかも。』


「何を？」


『翼の質問の答え、だよ。』


「・・・聞かせてもらえる？」


『もちろん。』


私はにっこりと笑った。

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