【文スト】 小さなマフィアと小さな恋 【中原中也】

小さなマフィアと 15 ページ17

『き、嫌われたかと思いました……』

「はァ？なんでそうなるんだよ、俺がAを嫌うわけ無ェだろ。」




『今日の朝から、名前で呼んでくれなかったので、

でも、良かったです、嫌われてなくて、』


先刻まで、煩かった心臓は静かになり、

代わりに頰がほころんだ。



「俺の方が、嫌われたかと思ってた、

接吻した途端に逃げちまうからなァ、」


うぐっ……………………



「でも、嬉しいってことは、

やってもいいってことだよなァ、」



そう言って中也さんはニヤッと笑う。


『はい……………………ん？ってちょっと待って


ここでやる気ですか⁉ お願いです、お願いですからやめて下さい！』



「ってことは、ここじゃ無けりゃァいいって事か」


そう言って中也さんは、

私を軽々と抱き上げた。



『下ろしてくださいっ！お願いですから、』


と私が頼むと、


「それはここでやってもいいってことだよなァ」


と返してくる。

厭、そうじゃないからっ！




先刻まで純粋な感じだったのに、

そんな感じだったのに！！


今はなんと言えばいいのか、すごい変わりようだ。




けれど、


そんな中也さんは生き生きして見えて、


別に、これでも良い気がしなくもない。

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