138.5【彼女は確かにトラウマを植え付けた】 ページ11
「全く、Aは本当に大丈夫なのか？」
朝早くの探偵社にて、国木田は自身の携帯を睨みながらぼやいた。
その画面には何日も来ていない社員の名前と、僅か数秒ほどの通話履歴が表示されている。
「寮に居る事は確実だよ。やる気が無いってずっと寝てた」
珍しくこの時間から居る太宰が椅子にもたれかかりながら言う。
国木田はそれに小さな溜息で答えた。
「風邪か？ナントカは風邪を引かないと云うがな」
「本人曰く其れは無いって。昨日測らせた体温も平熱だったし」
「……Aちゃん」
二人の会話を自身のデスクで聞いていた中島が呟く。
彼の脳裏に蘇ってくるのはついこの前の出来事。魔女というものに押しつぶされて、原型も無く血の海に浮かぶ姿。
宝石が輝いて目を閉じれば、次に瞼を開けた時にはいつもと変わらない彼女がそこに居た。
「……あの、魔法少女って、一体何なんでしょうか」
良いとは言えない顔色で、恐る恐るという風に疑問を投げかける。
その問いに太宰と国木田だけで無く、社内に居たほぼ全ての人間が反応する。
「その、この前凄く体調が悪そうにしてた時の事なんですが……あの時のAちゃん、死んでても可笑しく無かったんです」
「如何いう事？」
鏡花が懐疑的な視線を向ける。
中島は自身の拳をきつく握った。
「……依頼の帰りに魔女と遭遇したんです。何とか魔女は倒せたんですが……相打ちの様な形で、Aちゃんが、…………潰されて、それで……」
「！」
今でも思い出せるあの光景と血の臭い。
静まり返った社内に中島の震えた声が響き渡る。
「原型を、留めていなくて……与謝野さんでも治せないような大怪我……と云うより、……」
それ以上は言えなかった。
何度か口が開閉して、閉ざされる。
「でも敦、あの時のAには何処も怪我は無かった」
「……治ったんです」
「治った？」
与謝野は思わず聞き返す。
幾ら普段から傷の治るのが速いAでも、今の話を聞く限りではそんなもの治る筈が無いのに。
中島は俯いていた顔を上げて、こちらに聞き入る社員たちを見渡す。
「Aちゃんが投げ渡した宝石が輝いたと思ったら、次の瞬間には嘘みたいに全部治ってたんです」
その話に目を見張る者と思考に陥る者の二分に分かれたが、誰も、何も答えなかった。
「……魔法少女って、一体何なんでしょうか」
もう一度同じ問いが繰り返される。
しかし、それに答えられる者など居なかった。
少なくとも、此の中には。
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アラモード(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (3月15日 19時) (
レス) @page13 id: f9e6be770b (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - うたねのどあさん» わ〜いつもありがとうございます〜！！私も書いていて本当に楽しいです！わりとこの後手探りなので頑張りますね……！ (1月18日 23時) (レス) @page10 id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
うたねのどあ(プロフ) - 夢主ちゃんがメイン…！！お話の物語、展開とか本当に好きすぎます！！この先本当に楽しみです！！更新楽しみにお待ちしております！！ (1月17日 23時) (レス) @page10 id: d12e45b1fd (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 星月ぱろあ@ろあ民🐈‍⬛さん» ありがとうございます！そこそこの長さなのに凄いです……！これからも頑張ります！ (1月2日 0時) (レス) id: 2b38128ef8 (このIDを非表示/違反報告)
星月ぱろあ@ろあ民🐈⬛ - 一気見しました。更新頑張ってください。 (12月31日 21時) (レス) @page5 id: f169115c31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りんご飴 | 作成日時：2023年12月24日 21時
