第六十六訓 ページ40
「……土方っ！！！」
Aが振り向くと、そこには足から血を流し座り込む土方の姿があった。先ほどの銃声は土方の足を貫通した音だったのだ。
自分を囲む敵を一掃すると土方の方へ駆け寄った。
自力で立った土方の腕を肩にかけ、なおも自分たちを狙う銃弾を避けながらコンテナの影へ避難した。
「A、お前は平気か」
「土方に比べたらな…」
止血するために自分のジャケットを脱ぎ袖を破ろうとするAを土方は手で制止した。
怪我をしても尚不敵な笑みを浮かべる土方は、コンテナに手をつきながらも1人で前へ進みだした。
「じゃあせめて、肩くらい貸させてくれ」
Aが隣に並ぶと、土方はその肩に腕を回した。
こんなにも怪我をしても、自分の足で立ち戦おうとするのか。それは土方なりの、彼女――ミツバへの想いの形だった。
少し進むと、そこにもうコンテナはなく開けた場所だった。そこに蔵場率いる浪士達が2人を待ち構えているのがわかった。後ろ側にも回り込まれている気配を感じる。
逃げ場はもうない。
2人は覚悟を決めた。たった2人で、多数の敵をすべて討つ覚悟を。
「俺の背中はお前に任すぞ」
Aの肩から腕を下ろし、足を引きずるようにしながらも土方は進んだ。Aがうなずいたのを見ると、目を細め微かに笑った。
敵が2人を囲むように円状に構え、蔵場がその円を見下ろしていた。
土方が蔵場と向き合うように、Aがその背を守るように、円の中心に立った。
「残念です、古い友人をなくしミツバも悲しむでしょう」
蔵場は目下にいる土方にむかって話し始めた。
真選組の縁者と近づけば自由に商いができると踏んでいたこと、しかしミツバは病持ちだったこと。はなから蔵場はミツバを利用しようとしていた。反吐が出るような話に、Aの刀を持つ手に力が籠った。
「ハナから俺たち抱き込むために、アイツを利用したのかよ」
「愛していましたよ…ただし道具として」
その言葉に、土方は昔のこと、そして先ほど剣を交えた沖田のことを思い出す。
「外道とは言わねぇ、俺も似たようなもんだ」
ミツバの自分に向けられる想いに気付きながらも、はねのけた昔を思い出す。
「同じ穴の狢ですか、あなたとは気が合いそうだ」
「そんな大層なもんじゃねぇさ、俺はただ…」
Aの背後で土方が刀を構える気配がした。
「惚れた女にゃ、幸せになってほしいだけだ」
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黄羅(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてうれしいです！そしてご指摘もありがとうございます。区切りの良い所まで行ったら設定を大幅に変えようか検討中です。その際にはお知らせ致しますので、これからも見て頂けたら幸いです! (2021年2月5日 5時) (
レス) id: 3f33cf0222 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 楽しんでいつも見てます！高杉との絡みがあって嬉しいです！ ただ月詠口調がやりすぎじゃないかなって気になりました。 (2021年2月5日 4時) (レス) id: becceb0046 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ - 更新楽しみに待ってます！ (2015年3月12日 14時) (レス) id: a76acd2a98 (このIDを非表示/違反報告)
桃果銀魂LOVE(プロフ) - 更新頑張ってください！応援してます♪ (2015年1月24日 8時) (レス) id: 3c29a828b5 (このIDを非表示/違反報告)
ﾐｼｪﾙ(プロフ) - 続きィィイイ〜！！見たい〜！！一国傾城篇とか！！ (2015年1月2日 1時) (携帯から) (レス) id: eac2cfa6e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黄羅 | 作成日時：2013年7月30日 20時
