第六十三訓 ページ37
A達がいたのは、ミツバの婚約者の屋敷の前だった。
倒れたミツバは屋敷に運び込まれ、その場にいたA達も屋敷へと招かれた。
一室に集められたA、土方、山崎に銀時。
ミツバの容態を知らされ駆けつけた総悟は、ミツバが寝ている部屋にいる。
「ようやく落ち着いたみたいですよ」
ミツバの眠る部屋を覗き見していた山崎が、医師達の話を盗み聞きしたようだった。
身体が悪いとは聞いていたが、ここまでとは…と続けた。
その話を聞きつつも、今1番気になっていたことをAは尋ねた。
「銀時、なぜミツバさんと?」
「成り行きだ。
ジミーはどうしてアフロ?」
「成り行きです」
昼間、姉弟のことを好奇心から尾行していた山崎は、総悟に気付かれバズーカを向けられた。その結果、アフロとなってしまったままだったのだ。
銀時はまぁ…と馬鹿にするような笑みを浮かべ土方の方を見た。
「そちらさんは成り行きじゃなさそーだな。
ツラ見て倒れちまうたァよっぽどの事、あったんじゃねーの?」
「…てめーにゃ関係ねぇ」
土方のことを馬鹿にする銀時と山崎。当然土方はそれにキレて刀を抜き出した。
いつもは止めに入るAだが、そちらに気が行かないほど、土方とミツバの関係を考えていた。
そこに、よく通る声が響いた。
「みなさん。
ミツバを運んでくださりありがとうございます。」
ミツバの婚約者、そして今追っている件の首謀者
ーーー蔵場当馬だった。
「(こいつが…)」
初めて見合せる顔にAは思案をめぐらせる。密輸をするようには見えない、人好きな顔だった。
「聞けばみなさん、総悟くんのお友達の様で…」
「友達なんかじゃねェですよ」
外からした声は総悟のものだった。
総悟は部屋に入ると、土方の前に立ち低い声で告げた。
「どの面さげてきたんでィ」
土方はそれに何も言い返すことなく、ただ邪魔したな、とだけ告げた。
A、と呼ばれ、山崎を連れて部屋を出る土方に続いた。
部屋を出てすぐ、ミツバが寝ている部屋の前を通った。襖がわずかにあいておりミツバの顔が見えた。
その視線は土方に向いており、土方の視線も横目ではあるがミツバに向いていた。
Aは総悟の様子そして2人の様子を見て、2人の関係に凡その察しがついた。
土方にも思うことがあるのだろう、しかしそれを自分が聞く権利はないし、聞いた所でそれを話すこともこの男はないだろう。
曇りがかる心に気づかないふりをして、山崎が運転する車に揺られた。
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黄羅(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてうれしいです!そしてご指摘もありがとうございます。区切りの良い所まで行ったら設定を大幅に変えようか検討中です。その際にはお知らせ致しますので、これからも見て頂けたら幸いです! (2021年2月5日 5時) (レス) id: 3f33cf0222 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 楽しんでいつも見てます!高杉との絡みがあって嬉しいです! ただ月詠口調がやりすぎじゃないかなって気になりました。 (2021年2月5日 4時) (レス) id: becceb0046 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ - 更新楽しみに待ってます! (2015年3月12日 14時) (レス) id: a76acd2a98 (このIDを非表示/違反報告)
桃果銀魂LOVE(プロフ) - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2015年1月24日 8時) (レス) id: 3c29a828b5 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル(プロフ) - 続きィィイイ〜!!見たい〜!!一国傾城篇とか!! (2015年1月2日 1時) (携帯から) (レス) id: eac2cfa6e5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄羅 | 作成日時:2013年7月30日 20時