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第五十八訓 ページ31

「うがぁぁぁぁぁ」

叫び声をあげながら刀を銀時へ振りかざす似蔵

そんな似蔵に動じず

ザシュッ


似蔵は、銀時の刀に倒れた


それを見届けると、鉄矢は最後の力を振り絞るように鉄子へ言葉を告げた

「いい鍛冶屋に、な…」

鉄子の頬にあてた手の力がゆっくりとぬけていく

「いつもみたいな、大きな声で言ってくれないと…
 聞こえないよ… 兄者…」

鉄子は涙を流しながら、兄の手を握り続けた


外では、高杉と桂が対峙していた

「俺達の始まりは同じだった・・・
 だが、いつから違ったのだろう」

目を伏せる桂に高杉が喉を震わせた

「確かに俺達は、始まりこそ同じだったかもしれねぇ
 だがあの頃から、バラバラな方向を向いていたじゃねぇか」

2人の脳裏に映るのは、幼き日の自分たちの姿
真面目に授業を受けている桂に、頬杖をつきながら先生を見つめる高杉、
そして居眠りをする銀時に、必死に教科書の文字を追っているA・・・

「俺はあの頃からなんも変わっちゃいねぇ
 俺は――」

突如、桂たちの頭上で大きな音が響いた
上を見ると、そこには巨艦があった
そしてそこに印されていた旗は・・・

「あれは・・・宇宙海賊春雨!?」

驚く桂を振り返り、高杉は続けた

「俺はなァ、お前らが国のため仲間のためだと剣をとった時もそんなもんどうでもよかった」

「考えてみろ
 その剣の使い方を教えてくれたのは、武士道を教えてくれたのは、
 生きる世界を与えてくれたのは誰だ?」

高杉と桂の脳裏に、ある人物が浮かんだ

「紛れもねェ、松陽先生だ」

空を見つめ、遠くにいる誰かにいるように話す高杉

「なのにこの世界は俺達から先生を奪った
 ・・・挙句の果てにはアイツまでもな」

Aの姿が思い浮かんだ

「だったら、俺達はあいつ等を奪ったこの世界をぶっ壊すしかあるめーよ」

語り続ける高杉の背中に、桂は昔の姿を重ねていた

「俺達からいろんなモンを奪った世界で何故のうのうと生きてられる?
 俺はソイツが腹立たしくてならねぇ」

ギリッと奥歯を噛みしめる

「・・・俺とて何度憎んだかわからんさ
 だが一番世界をにくんでいるはずの奴らが・・・A達が耐えているのに俺達に何ができ
 る」

それに・・・と続ける

「壊すには、ここには大事なものができすぎた」

今まで出会った恩人達の姿が浮かんだ

「何かもっと方法があるはずだ、先生もそれを望んで・・・」


「桂だァ」

「ほんとに桂か?」

「!!」

頭上から、声がした

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黄羅(プロフ) - ななさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けてうれしいです!そしてご指摘もありがとうございます。区切りの良い所まで行ったら設定を大幅に変えようか検討中です。その際にはお知らせ致しますので、これからも見て頂けたら幸いです! (2021年2月5日 5時) (レス) id: 3f33cf0222 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 楽しんでいつも見てます!高杉との絡みがあって嬉しいです! ただ月詠口調がやりすぎじゃないかなって気になりました。 (2021年2月5日 4時) (レス) id: becceb0046 (このIDを非表示/違反報告)
ユウカ - 更新楽しみに待ってます! (2015年3月12日 14時) (レス) id: a76acd2a98 (このIDを非表示/違反報告)
桃果銀魂LOVE(プロフ) - 更新頑張ってください!応援してます♪ (2015年1月24日 8時) (レス) id: 3c29a828b5 (このIDを非表示/違反報告)
ミシェル(プロフ) - 続きィィイイ〜!!見たい〜!!一国傾城篇とか!! (2015年1月2日 1時) (携帯から) (レス) id: eac2cfa6e5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黄羅 | 作成日時:2013年7月30日 20時

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