孤爪兄妹の日常。【ハイキュー！！】

#22「畳のエツ子さん」 ページ25

『カラオケ行かね？』


たった一行のそっけない文面。

ついさっきクロからきたメールには、ただただそうとだけ書かれていた。


「やだ、っと」


それに対抗して、あたしは一行どころか一言で返す。家から出たくない、暑い。


「……ねえ、クロからメール来たんだけど。
カラオケ行こうって」


あたしの背中にもたれる研磨が、面倒くさそうにそう言う。「それさっき来た」と返すと、「んー」という生返事が返ってきた。

たぶん研磨も「嫌」って返したんだろうなあ。


「家から出たくないもんねえ」

「うん」

「せっかくのオフだもんねえ」

「うん」


双子のどっちもに断られたクロ、かわいそー。
まあ断ったうちの一人はあたしだけど。

ごめんね。


「……わ、クロからだ」


携帯を持ったまま、何をするでもなくボケっとしていたら、また来た。クロからのメール。


『じゃあ映画行こうぜ』


今度は映画のお誘いらしい。

とにかくどこかへ遊びに行きたいんだね。
映画の次は何が来るんだろう、お買い物かな。


『映画って、何見るの？』


今度は断らずに聞いてみた。
1分経たずに返事か来るところを見るに、相当な暇人らしい。


『夏だし、ホラーとか』

『却下で』


あたしも即行で返事をしてやった。
ホラーとか絶対やだ。


「A、映画行こう」

「ホラー以外ね」

「……」


クロからメールをもらっていたらしい研磨。
そんなにすぐ、ホラーに食いつくことないのに。

あたしホラー嫌いだし。


「何なら見るの？」

「SF」

「……知ってた」


流石、双子の片割れはちゃんと分かってる。魔法使いとかいいよね、ファンタジーチックで。


「SFでいいから見ようって、クロが言ってる」

「研磨も行きたいの？」

「……別に、どっちでもいい」


映画館が涼しいのと、その映画館が近いということで、研磨は家から出ることに抵抗がないらしい。


「じゃあ行こう！」

「何見るの……？」

「『畳のエツ子さん』」

「なにそれ……」


エツ子さん面白いらしいんだよね、しーちゃんが言ってたし。


「クロ、それ気になるらしい」

「わーい！」


エツ子さん、今行きます！


ーー


エツ子さん誰……。

しーちゃんはAさんのご友人です( ´ ▽ ` )

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