398.悪夢を照らす眩い声 ページ19
―政宗side―
真っ暗な空間。深海に近い暗闇。
光が射し込まない冷たい漆黒の海で、政宗は暗い海底に向かって沈んでいた。
(ここは……。……ん?あれは……)
彼の真上に、幼い男の子――梵天丸(政宗の幼名)が浮かび上がっていた。その子の周りには、梵天丸の母――義姫と伊達家の家臣達が彼を囲むようにして下目に見ていた。その眼は、蔑みと嫌悪、化け物を見るかのような目付きをしていた。
幼い時、天然痘を患い、右目を失った瞬間、彼を取り巻く人々は変わってしまった。
義姫と家臣達は梵天丸から遠ざけ、暗闇に消えていった。独りになった彼は、悲しみと寂しさの涙が零れ落ちた。
(そうだ……オレは右目を失ったあの日、母上や家臣達に疎んじられた。そのせいで、愛情や何もかも奪われ……。オレは、また孤独の闇に墜ちるんだろうか。オレの光は、ここで――)
『……さん……宗さん……』
闇に呑まれようと身を委ね、瞳を閉じかけた刹那、誰かの手が政宗の手を掴んだ瞬間、優しい鈴のような声が響いた。
(…誰だ?オレを呼ぶ声は……)
その声は、だんだん明確な声に変わっていき、握りしめられた手がどんどん海上へ引き上げられていく。
『…政宗さん……政宗さん……!』
暗黒の空間だった海が一筋の光によって、やがて大きな光の塊になって包まれた。
―――
――
―
A「――政宗さんッ!」
伊達兵達「筆頭ッ…!」
現実のAが政宗の手を両手で包み込むように握りしめ、憂いな眼差しで見つめていた。小十郎は静かに安堵を浮かべ、伊達兵達は喜びと憂いと混ざり合った涙目で彼を見据えていた。
政宗「……A、小十郎、オメエら……」
小十郎「政宗様」
良直「筆頭…」
A「良かった……目が覚めて、本当に良かった……」
Aの潤んでいた瞳が目尻に涙が滲み出ていた。
政宗「お前みたいな泣き虫…放っておけるわけねえだろ」
政宗は微笑みながら腕を伸ばし、Aの頬に触れ、指で涙をそっと拭ってやった。
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コマさん - 最初から読みました!とても感動しました。゚(゚´Д`゚)゚。 (2017年5月7日 12時) (レス) id: 29a322c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
クイナ - えーと、楽しく読ませてもらってんスけど...。ワンピース入ってますよね。何か全然違和感無くておもろいッスよ (2016年3月28日 11時) (レス) id: 878c05571f (このIDを非表示/違反報告)
舞 - はじめまして、舞です。私も最初っしょから読ませていただきました(^O^)とても素敵で感動しました。本や漫画にしてもおかしくないです。素晴らしい物語でした。ありがとうございました。 (2014年5月9日 22時) (レス) id: 7c57ccdb7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ひいらぎ☆(#´^`#)/(プロフ) - 最初っから読ませて頂いたのですか、凄く感動しました!私も結構涙脆いので、途中でボロボロ泣いてましたwとてもよかったです! (2014年3月9日 4時) (レス) id: fcd858585a (このIDを非表示/違反報告)
花海月ヒリス(プロフ) - 双龍阿修羅@元朱雀さん» 見てくれてありがとうございます!今後出される作品も楽しみに待ってて下さいね(^_^) (2013年11月11日 22時) (レス) id: faf94e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花海月ヒリス | 作成日時:2013年9月12日 16時