384.奇跡の蘇生 ページ5
Aが動かなくなってから、小十郎と半兵衛はその場を動かずにいた。半兵衛は、重たくなった彼女を抱きながら微かな小声で呟いた。
半兵衛「……君のいない世界で生きるなんて、僕にはできない」
そう呟くと、半兵衛はAを地面に横たえさせ、ゆっくり小十郎に振り向いた。
半兵衛「よくも……よくもAを…!」
小十郎「……」
刀を握り返した半兵衛は小十郎に近づき、小十郎も臨戦態勢をとる。
ややあって――互いが再び刃を交り合おうとした刹那、半兵衛の背後に小さい呻き声が聞こえてきた。二人は構えを解き、その方へ向いた。
A「う……」
小十郎「A…」
半兵衛「A!」
驚いて目を見開く小十郎。
半兵衛はすかさずAの方へ駆け寄り、抱え起こした。Aは小さく意気を吐くと、ゆっくりと瞼を開いていった。
A「半……兵衛……」
半兵衛「A、良かった……生きててくれて良かった……」
彼は感極まり、Aの体を抱きしめた。
A「…冥界でね、母上に会ったの。母上は私に生きる機を与えてくれた。『あなたは生きるべき』なんだって」
抱きしめられた腕の中でAは小さく囁いた。
半兵衛は少しだけ顔を離し、彼女の顔を覗き込むと嬉しそうに笑っていた。Aを現世に蘇らせた事、幸せになる権限があると、半兵衛はねねに心から感謝した。
半兵衛は、
(なんで、こんな時に……。嫌だ、嫌だ……!)
片方の手で胸を掴み、外へ出ようとする咳を必死に抑え込む。それは咳き込むよりも辛く、じっとりと嫌な汗が伝った。半兵衛は顔を俯いたまま彼女の元から離れた。
A「……半兵衛?」
異変に気づき、Aは訝しい表情で見つめた。
半兵衛「A……僕から、離れてッ……」
A「半兵衛……ねぇ、どうしたの?半兵衛――」
急に口に手を当て、体を折り曲げて動かなくなった半兵衛をAは心配して顔を覗こうとした途端、激しく噎せた彼の唇と掌には血が染み付いていた。
A「半兵衛ッ!」
命の花びらが散り、最愛の人との別れのカウントダウンが迫っていた――。
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コマさん - 最初から読みました!とても感動しました。゚(゚´Д`゚)゚。 (2017年5月7日 12時) (レス) id: 29a322c6a9 (このIDを非表示/違反報告)
クイナ - えーと、楽しく読ませてもらってんスけど...。ワンピース入ってますよね。何か全然違和感無くておもろいッスよ (2016年3月28日 11時) (レス) id: 878c05571f (このIDを非表示/違反報告)
舞 - はじめまして、舞です。私も最初っしょから読ませていただきました(^O^)とても素敵で感動しました。本や漫画にしてもおかしくないです。素晴らしい物語でした。ありがとうございました。 (2014年5月9日 22時) (レス) id: 7c57ccdb7c (このIDを非表示/違反報告)
☆ひいらぎ☆(#´^`#)/(プロフ) - 最初っから読ませて頂いたのですか、凄く感動しました!私も結構涙脆いので、途中でボロボロ泣いてましたwとてもよかったです! (2014年3月9日 4時) (レス) id: fcd858585a (このIDを非表示/違反報告)
花海月ヒリス(プロフ) - 双龍阿修羅@元朱雀さん» 見てくれてありがとうございます!今後出される作品も楽しみに待ってて下さいね(^_^) (2013年11月11日 22時) (レス) id: faf94e31c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花海月ヒリス | 作成日時:2013年9月12日 16時