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第二十三話 ページ25

A視点


太宰さん「さて......Aちゃん、どうする?選択は任せるけど」


 選択は任せるって...世界を救うか救わないかってことでしょ?そんなの選択肢ないし、
ほぼ誘導尋問じゃんこっわ。


「わ、私...失敗してしまうかも」


(人を殺してしまうかも)だなんて口が滑っても言えない。


太宰さん「失敗?大丈夫さ、私たちもいる」


安心し給えとでも言いたげな顔で太宰さんが言った。


 そう言うことじゃない!あの人を殺してしまうかも知れないの!


と叫んでしまいたかったが...
そうすればこの未知の世界でようやく会えた心から親切な人たちを失ってしまう気がして、怖い。


太宰さん「...Aちゃん、こっちをみて」


太宰さんが私の頬に軽く手を当てて、自分の方を向かせる。(え?何これ)


太宰さん「君は失敗しないさ、もう2度と」


じっと目を見つめて太宰さんがそう言った。2度とって...まるで心を全部見透かされているみたいだ。


「...そ、うですね。私、やってみます」


そういうと太宰さんはにっこり微笑んだ。


 ゆっくり捕虜の近くへ歩み寄り、小さく「宵月天女」と囁いた。


 捕虜の頭から一気に情報が押し寄せてくる。


 私はパチンと指を鳴らし彼の目をじっと見つめると、ふっと振り返って太宰さんに言った。


「もし...万が一ですが......その、私が彼を、殺してしまいそうになったら...太宰さん、私を殺してください」


 太宰さんは頷かなかったが、私はもう一度捕虜の方へ向き直り


「国木田様...」


と呼びかけて首を傾げ小さく笑った。


 彼を虜にするための情報を抜き取るとき、彼の過去が少しだけ見えた...。


 彼の理想の人...だった女性はもうすでに、なくなっていたんだ。


彼が死ぬなんてたとえ街を救うためでも嫌だと思った。


 だから、絶対今度こそ、ちゃんと...。

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水無月麗(プロフ) - MANA☆さん» ありがとうございます😭 頑張ります! (2月8日 20時) (レス) id: 2daa15024e (このIDを非表示/違反報告)
MANA☆(プロフ) - わ、和歌月ちゃんが可愛いです…応援しています!投稿頑張ってください! (2月8日 17時) (レス) id: 320ec2c20a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水無月 麗 | 作成日時:2024年1月30日 16時

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