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そこから二週間あまりが経過した。
依然として恋愛協力に対しての答えは出していないが、忍足君はこの前の宣言通り、私に話しかけてくる頻度が格段に増えた。
その影響で私たち二人の間柄は、あまり関わり合いのない単なるクラスメイトから、何となく友達っぽいものになっていた。
季節はすっかり梅雨模様で、窓の外は雨の線を映している。
休み時間、そんな廊下の窓を横目に、私は突き当たりに位置するお手洗いへと向かった。
用を済ませ、手を洗い、水道前の鏡で髪の乱れを直す。いつも美容室でベリーショートに仕上げてもらっている黒髪は、いつの間にか、肩に付きそうなところまで伸びていた。
そろそろ切りに行かねば、と思いつつ毛先を指で触ると、甘酸っぱい記憶が胸に迫る。
中等部のある時まで、私は黒髪は肩甲骨の下辺りまであるロングヘアだった。
その髪をバッサリ切ることになったきっかけは、宍戸君に恋をしたことだった。
中学二年生。もうすぐ夏休みに入る、という七月中旬の朝、共働きの両親が二人そろって仕事の都合で普段より早く出勤するというので、ついでに私も家を出た。
いざ学校に着いてみると、朝練前で校舎に生徒の姿はほとんどないし、教室にも当然誰も居なかった。
早朝の学校はこんなにも静かなのか、と感じ入りながら、その頃たまたま窓側の席だった私は、窓の外を何気なく眺めた。中等部の教室の窓からは、テニスコートとグラウンドが見える。
そして景色の中に、一人で走る宍戸君を見つけたのだった。
当時、宍戸君と私は同じクラスだった。
クラスに居る時の兄貴肌で明るく笑う彼とは違う、ピリピリと刺すような真剣な姿に驚く。彼はテニスコートには入らず、ひたすら走り込みや、フットワーク練習をしていた。
無意識のうちに見つめていたのだろう。彼は視線を察知して、こちらを振り向いた。
眼差しが繋がって、パチリと弾ける音がした。
ぎこちなく手を振ると、彼は驚いた瞳の後で朗らかに笑って拳を窓の方向に上げて応えてくれた。
そこから、私には朝早く登校する習慣がついた。
早朝の教室の窓から宍戸君を探し、彼が私を見つけて微笑み返してくれる。そんな二人だけしか知らない数秒間が、おかしいくらいに嬉しかった。
私たちは、教室でもよく話すようになった。彼の好きなものが自分と重なっていると、“運命かも”なんて、愚かで純粋な幸せを感じた。
気付けば、もう、恋の真ん中に居た。
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megumi(プロフ) - トモキさん» コメント、ありがとうございます！感情移入して頂けて嬉しいです。最近多忙を極めるため、なかなか更新出来てませんが、必ず最後まで書き続けます。 (8月28日 19時) (
レス) id: e6a6c10801 (このIDを非表示/違反報告)
トモキ - 「結局のところ、これがしたいというよりも、隣に好きな人が居るということが一番大切なことだと気付く。」という言葉からすごく夢主さんの気持ちが伝わりとても感情移入してしまいました。続き楽しみに待ってます。 (8月20日 22時) (レス) @page16 id: be68aea6b3 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 桃花さん» 応援メッセージ、ありがとうございます！とても励みになります(◡ ω ◡)頑張って執筆します♪ (2023年4月20日 21時) (レス) id: c1e2bcbffd (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 更新待ってます！(*＾▽＾*) (2023年4月20日 16時) (レス) @page1 id: 45cbc35a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2021年10月1日 17時
