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「好きな人が失恋して傷心やったら、どんな善人でも、これはチャンスやと思って喜ぶ気持ちが、心のどっかに出てくるはずやで。意識しとるか無意識かは、人それぞれでもな」
私は思わない、と言いかけて、息を飲み込む。本当に思わないと言い切れるだろうか。言い返す自信が無くなってゆく。忍足君の言うことは核心を突いている気がする。
もしも鳴島さんが心変わりをして、宍戸君が傷付いた時、私もチャンスだと思うのだろうか。今想像する限りでは、二人の別れを喜べないと思う。けれど、もしかしたら、喜ぶ私が潜んでいるかもしれない。
ただ、私にとって宍戸君は、単なる想い人なだけではない。中学校からの友達で、少なくとも私の方では、彼は異性の中で一番仲の良い存在だった。徹底的に友達だった。
「そうかもしれへんけど、宍戸君は、私の好きな人である前に友達やから、やっぱりそんなことしたくない」
自信をかき集めた持論。
けれど、それは虚しくも、忍足君に砕かれた。
「嘘ついて取り繕って、『宍戸君とはただの仲良い友達です。二人の事は邪魔しません』とか言うて、本音はちゃうやろ。実は宍戸の近くに
「なんも、そんなこと思てへんし、なんで忍足君にそこまで言われなあかんの？ 勝手な妄想もええ加減にしてよ」
凍えそうな彼の視線に、がむしゃらに歯向かった。私はそんな人間ではない、と思いたかった。
「友情の下にあるもんが、見え透いてんねん。無意識の下心はタチ悪いで」
「ほな、なんなん？ 両想いを必死で諦めて友達として居るより、相手に恋人が居っても正面切って振り向かせようとするのが正しいって言うん？」
「諦められてへんやん。そんな泣きそうな顔してんのに」
ぐっと唇に力を入れた。涙なんて、見られたくない。
「悪い、言い過ぎた。……とにかく、考えてみてや。もういっぺん言うけど、意地悪く二人を壊すんとちゃうねんから。俺らお互いの消化出来へん気持ちを、当たって砕けろ精神でぶつけて成仏させてみよかってくらいやし、恋愛なんて誰かが傷付くもんなんやから」
考えるもなにもない。どうしようもないことだから。
そう断れたはずなのに、言えなかった。
私の心の底、自分でも気付いていないような奥底にあるものを、彼の切れ長の目に何もかも見透かされてしまうような気がした。
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megumi(プロフ) - トモキさん» コメント、ありがとうございます！感情移入して頂けて嬉しいです。最近多忙を極めるため、なかなか更新出来てませんが、必ず最後まで書き続けます。 (8月28日 19時) (
レス) id: e6a6c10801 (このIDを非表示/違反報告)
トモキ - 「結局のところ、これがしたいというよりも、隣に好きな人が居るということが一番大切なことだと気付く。」という言葉からすごく夢主さんの気持ちが伝わりとても感情移入してしまいました。続き楽しみに待ってます。 (8月20日 22時) (レス) @page16 id: be68aea6b3 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 桃花さん» 応援メッセージ、ありがとうございます！とても励みになります(◡ ω ◡)頑張って執筆します♪ (2023年4月20日 21時) (レス) id: c1e2bcbffd (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 更新待ってます！(*＾▽＾*) (2023年4月20日 16時) (レス) @page1 id: 45cbc35a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2021年10月1日 17時
