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居たたまれなくなって立ち去ろうとすると、「待って」と忍足君がまた呼び止める。
「何？」
一言問いかければ、彼は何か答えようと口を開いたのだが、彼の背中越しに小柄な男子がちらりと見え、その忙しない声に遮られた。
「侑士！ 早くしねぇと先行くぜ！」
若干の苛立ちを含んだ催促。確認するまでもなく、それは向日岳人だった。
彼とはクラスが一緒になったこともなく、個人的に話したことも片手で数えられるほどしかないが、宍戸君と幼馴染であり、よく一緒に居るのも知っているし、テニスコートで体操選手並みに跳ねる姿も印象的で覚えている。
その他は、せっかちなことや、言葉遣いが少し荒いことぐらいしか知らないが、決して悪い人ではないのは何となく分かっていた。
そんな向日君を忍足君は飄々と受け流す。
「先行っといてくれ」
「はあ！？」
「岳人。悪いんやけど、跡部に遅れるって言うといてくれるか？」
向日君はブツブツと文句を漏らした後、「なるべく早く来いよ！」と不服そうに言い捨て去ってゆく。
「部活、遅れてええの？ 向日君、イライラしとったみたいやけど」
「岳人のこと、知ってんねんな。……まぁ、ちょっとぐらい大丈夫やろ」
忍足君は少しだけ外を見やってから、私に向き直る。
「今日は急にあんなこと言うて、すまんかったな。話したいことがあんねん。ちょっと時間くれへん？」
私は靴箱にかけていた手を引いて、彼の目を見る。
あれ程啖呵を切ったが、このまま話を聞かずに立ち去るなんて出来ない。話したこともなかった彼が、なぜ急にあんなことを言ってきたのか、その理由を聞くだけの価値はあると思った。
促されるがままついて行く。階段を上って、屋上への入り口の前の踊り場で彼は止まった。
手すりに腕を置いた忍足君は、私の目をじっと見てから、口火を切った。
「協力せえへん？」
協力、という言葉に私は思わず眉をひそめた。
「どういうこと？」
「宍戸が今、鳴島百香と付き合うてんのは知ってるよな？」
「そんなこと、誰でも知っとるやん」
諦めているはずの恋心が痛む。
宍戸君たちが恋人関係になったのは一年前のことで、同学年の人達はほとんど知っている。
それに私は宍戸君から友達として恋愛相談を受けていたのだから、どんな経過を辿ってそうなったのかすら分かっている。
「俺はその鳴島のことが好きやねん」
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megumi(プロフ) - トモキさん» コメント、ありがとうございます！感情移入して頂けて嬉しいです。最近多忙を極めるため、なかなか更新出来てませんが、必ず最後まで書き続けます。 (8月28日 19時) (
レス) id: e6a6c10801 (このIDを非表示/違反報告)
トモキ - 「結局のところ、これがしたいというよりも、隣に好きな人が居るということが一番大切なことだと気付く。」という言葉からすごく夢主さんの気持ちが伝わりとても感情移入してしまいました。続き楽しみに待ってます。 (8月20日 22時) (レス) @page16 id: be68aea6b3 (このIDを非表示/違反報告)
megumi(プロフ) - 桃花さん» 応援メッセージ、ありがとうございます！とても励みになります(◡ ω ◡)頑張って執筆します♪ (2023年4月20日 21時) (レス) id: c1e2bcbffd (このIDを非表示/違反報告)
桃花(プロフ) - 更新待ってます！(*＾▽＾*) (2023年4月20日 16時) (レス) @page1 id: 45cbc35a1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2021年10月1日 17時
