味方 ページ41
大学で仕事を終え帰り支度をしていた時、由貴が何気なく隣に来た。
「そう言えば、あれから広瀬君から連絡あったの？」
「何もないよ。私も傷付けてしまっただろうし」
あの日の翌日、隆から一度だけメールが来たが、それきりである。
『ごめん。それと広樹さんが居たのは、家も仕事場もあの駅の近くだからだ。』
そんなことを何故知らせたのかは分からない。ただそれは、朝倉さんについて唯一知っていた仕事先まで偽りだったと教え、私は愛している人物を何も知らないと思い知らせるものだった。
とはいえ、由貴にとってこの話題はさほど重要ではないだろう。一息置いて、彼女は本題を切り出した。
「あの人とは、まだ続いているんでしょう」
小さく頷くと、彼女は優しい笑顔で一つ息を吐き、私の肩に手を添えた。
「気持ちは分かるよ、辛いよね。でも、Aの本当の幸せを考えてね……」
由貴だって別れるのは簡単じゃなかった。けれど彼女はそれを乗り越えた。好きな人に追われても、それを振り切った。
そんな経験があるから、はっきりしない私を頭ごなしに否定したり急かしたりしないのだろう。だからこそ、彼女の言葉は素直に心に入ってくる。
ありがとう、と一度言ってから、奥さんからの電話のことを話した。
「日曜日に会うことになった」
先程までの穏やかな表情とは一変して、彼女は真剣な眼差しを向ける。
「それ、行くの？」
行くなら覚悟が要るよ、そんな言葉が込められている。
私は少し尻込みしながら、頷いた。
「訴訟とかの話をされた？」
「ううん。それどころか、すごく穏やかだった。それに、友達になって欲しいって言われた。でも裏がありそうな感じじゃなかった」
「信じ難いし、自分なら行かないけど……Aは、行くって決めたんでしょ？」
「うん」
迷いなく答える。そうだ、私は行くと決めた。
怖くないと言えば嘘になる。でも、自分でも不思議なほどに、奥さんへの興味が生まれている。そして、奥さんと会って、現実を受け止め、朝倉さんとの別れの決意をもう一度固めるんだ。
「何があったとしても、わたしはAの味方だから」
止めることはせず、私の決断に寄り添ってくれる。私には勿体ないほどの友達だ。由貴にこそ、幸せになって欲しい。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
