悲劇と出会い�� ページ18
銅像のように動かず何かが抜け落ちたまま、ピントの合わない景色を目に映していると、ある男性が出入口から出てきて私に向かってきた。
徐々に結ばれる視線により、その人が第一発見者の男性と分かった。
その男性は私の隣に静かに腰を下ろしたが、なぜ来たのかはさっぱり理解できなかった。何か話すのかと思いきや黙ったまま、私と同じ方向に視線を向けている。この空気は些か居心地が悪かった。
声をかけるべきか、でも話す言葉も見つからない。
けれど何も言わず席を立ってしまうのは失礼にあたるかもしれないと、どうすることもできず考えあぐねいていた。
どれくらい経ったかは分からないが、その男性がやっと口を開いた。
「君は生きなくちゃいけないよ。」
驚いて声の主を見れば、夕日に照らされて上手く表情がくみ取れなかった。
さわさわっと風が頬を通り抜けた。
そんなことを言われるとは思わなかった。
それに、母の後を追おうと考えていたことが見透かされたようでばつが悪くなった。
僕は君には生きて欲しい、と続けるその姿は、私がずっと求めていたもののような気がした。
初対面の彼がなぜ自分に生きることを望むのかは分からないが、こんなにもストレートに存在価値を認められたのは初めてで、体の芯がじんわりと温まる感覚が広がった。
「母を……見つけて下さってありがとうございました。」
答えにもならないこの言葉がなぜ口を突いて出たのかは分からない。
だけど、その直後に頬に冷たいものが伝うのを感じた。
この瞬間、自分のこの言葉によって私は母の死を認めた。
先ほどまで出なかった涙が嘘のように止まらなくなった。
「僕は朝倉広樹っていうんだ。もしよければ、またいつでも話を聞くから、自分の命は大切にしてね。」
朝倉と名乗った彼は、サラサラと名刺に連絡先を書き加えて私に渡し、じゃあもう行くよとふわりと歩いて行った。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
