悲劇と出会い�� ページ17
遺体引き取りは検視が終わってからということで、数日後となった。
色々と手続きを済ませた後、廊下に出ると同時に男の人が部屋から出てきた。
私を担当していた刑事さんによると彼は第一発見者らしい。
そうですか、と一言返し、何か話しかけるべきなのか迷ったが、そんな気力はないし相手だって関わりたくないだろうと思い、そのまま建物を出た。
外でもう一度父に電話してみたが、やはり電源が切られている。警察が電話した時も繋がらなかったと聞いたし、仕事中だろう。
父の勤め先の会社の名前くらいしか知らないし、それもあやふやなので、もちろん電話番号も配属部署も知らない。というより一度も教えてもらったことがないので、個人の携帯しか連絡を取る手段はなかった。
思えば父について殆ど何も知らない。
いや、昔は誕生日祝いなどをしていたかもしれないが、もう忘れてしまった。
それは向こうも同じで、私や母についてのことなんか、殆ど知らないか忘れてしまっているだろう。
あの人は家族ではないということが改めてわかる。
そしてきっとこの悲劇を知ったところでなんの反応もなさそうだ。
母には父と私しか居なかったため、心を痛めるのは娘の私だけということか。
あれほど我慢して生きていたというのに、亡くなってしまうと、これほどまでに何も残らないという事実が虚しすぎる。
家に帰る気も起きず、すぐそこにあったベンチに崩れ落ちるように座る。
夏の暑さ、風の匂い、セミの声、流れゆく雲、往来する人。
一人の人生が幕を閉じたというのに、何事もなくいつも通り世の中は回っていく。
私の世界はこんなにも変わるというのに……
結婚してから一度でも母は幸せだと思ったことがあるのだろうか。
私は母を幸せにしてあげられただろうか。
一度でいいから「幸せだ。」と彼女に言わせてあげたかった。
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megumi(プロフ) - いなすらさん» ありがとうございます！ご期待に沿えるよう、頑張って執筆します(^^) (2019年5月22日 18時) (
レス) id: 04e98a2c19 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - めぐみさん» 誤字でしたか(笑)大丈夫ですよ！続き楽しみにしております((｡´･ω･)｡´_ _))ﾍﾟｺﾘﾝ (2019年5月22日 17時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみ(プロフ) - いなすらさん» いなすらさん、ご指摘ありがとうございます！誤字です、申し訳ありません。すぐに訂正いたしますm(__)m (2019年5月22日 17時) (レス) id: a2b7118433 (このIDを非表示/違反報告)
いなすら(プロフ) - 作品名、幸せだからいになっていますが、誤字でしょうか？意図的なものではないと思いますが、そうだったらすみませんm(*_ _)m (2019年5月22日 15時) (レス) id: 4bc43cc691 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：megumi | 作成日時：2019年5月21日 5時
