10、足りないもの ページ11
ASide
五条先生と別れてしばらく歩いている、がしかし。
一向にネカフェやらホテルが見当たらない。くそ、東京のくせに!!!!
『場所くらい聞いてから来ればよかった…』
声に出すほど後悔しながら歩いていくと、だんだんコンビニの看板らしきものが見えてきた。
それが救いのようで嬉しくて思わず走ってそのコンビニに向かった。
『は、はっ、』
息を切らしながらもコンビニに入る。
店内は私の知っているコンビニで安心した。
取り敢えず夜ご飯のサンドイッチとおちゃと充電器を買って外に出ることにした。屯っていても良かったが、邪魔になっていけないので仕方ない。
もう太陽も沈んでしまった。
元々私がこの世界に落とされたのは夕暮れ。
そこから高専に連れていかれ、話をして、コンビニを探し求めたなら、今の暗さは当たり前だ。
田舎の夜のコンビニは定員さんは居るものの、お客さんがいなくて不安になる。
『現世に帰りたい……』
とぼとぼ歩きながら独り言をつぶやいた。
周りに人がいないから大丈夫!……居ないよね…?
コンビニからさらにしばらく歩くと、大通りに出た。そこは東京らしく夜なのに人通りも多い。
走るサラリーマン、笑いながら歩く若者、一定の距離を保ちながら走行する車。
町は人工的な光で満ちていた。
やはり、人通りが多いと公園にも人はちらほらいるようで街灯も明るく怖くなかった。
『いただきます。』
私はベンチに座り、コンビニで買ったお茶を片手にサンドイッチを頬張る。
美味しい、現世で食べたコンビニのサンドイッチと同じ味。
けど、何かが物足りなかった。
みずみずしいレタスも、甘い卵も、ドロっとしたマヨネーズも揃っているのに決定的に何か足りないもの。
『……しずかだ』
いつもコンビニで買い食いする時は友達がいた。
それなのに今は一人で知り合いがいないこの世界で孤独にどこかも分からない公園でサンドイッチを食べている。
その事に気がつくと、寂しさと不安が一気にこみ上げてきて、涙になって出てきた。
『っ、……ぅ、』
さっきとは違い、ここには人がちらほらいる。
なので早く泣き止みたいと思うのだが、ぽっかりと空いた穴が塞げる訳もなく、只管に悲しさと不安だけが残る。
私、この先どうなるんだろう。孤独死?餓死?異変死?分からない。けど、この世界で長く生きる自分の将来が想像できない。
「おねーさん、どうしたの?」
1292人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
sou(プロフ) - はじめまして!!真人くんとの間接キスですが関節になってます!! (2022年2月14日 10時) (レス) @page21 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - あ”っっっっっっもう好きです!めっちゃ面白いです〜!体調に気をつけて更新ゆっくり主様のペースで頑張ってくださいね〜!めっちゃ応援してます! (2021年12月28日 23時) (レス) @page47 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
エドワールド(プロフ) - あーーーん五条×夏油の腐かぁ、、、。ԅ( ิټ ิԅ)グヘヘヘご馳走様ですԅ( ิټ ิԅ)。更新頑張ってください! (2021年12月28日 1時) (レス) @page47 id: 47a0ed334c (このIDを非表示/違反報告)
セル(プロフ) - 哀悧さん» リクエストありがとうございます!!番外編という形で書きます!!本編でも2年生は今後多分出てくるのでその時も良ければ!! (2021年4月3日 4時) (レス) id: d7342b4737 (このIDを非表示/違反報告)
哀悧(プロフ) - こんばんは!初めてこの作品を見させてもらいました、すっごく好みで面白いです!それでリクエストなんですが真人とか呪詛師側のコスプレや、2年生組のコスプレで2年生組との絡みなどすごく見てみたいですできればで構いません。これからも更新頑張って下さい応援してます (2021年4月3日 3時) (レス) id: fdf207860a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みなと | 作成日時:2021年1月7日 21時