疾風迅雷の本領発揮 ページ9
飛び回る雙翼刃を、僕はひたすらに眺めていた。
「綺麗だ…。」
空に重なる、一つに繋がった二つの刃は眩い輝きを放つ。
「ありがとう…雙翼刃。」
僕の口から次々と溢れる言葉に応えんと、雙翼刃は暗黒剣士を斬り散らす。
「レンリッ！」
ファナティオが駆け付けた頃には、全ての暗黒剣士は赤黒い地に横たわっていた。雙翼刃は再び二つに分かれ、僕の腰に提げた鞄に入れる。
「無事だったか…安心したぞ。」
「ファナティオ様こそ。そういえば、先程ここにイーディス様が来られました。」
「イーディスが？」
「はい。加勢してくれるそうです。」
「それは頼もしい助っ人ね。よし、私達はここの守りに専念しましょう！暗黒剣士隊を散らしたからといって油断をしてはいけないわよ？」
「勿論です！」
雙翼刃、これからも僕に翼を授けて欲しい。僕一人では飛べない所まで、君の力を借りれば飛ぶことができる。僕と一緒に、美しくも儚いこの世界を飛び回ろう。
ピカッ
レンリに心に共鳴するべく、雙翼刃の刃先が鞄の中で一瞬光った。
中央前方部隊とフュエルの決戦が始まった頃。
「そろそろエンカウントか…！」
途轍もない勢いで、ヴァサゴ率いる暗黒剣士隊は左翼後方部隊周辺に着地した。
ドドッッッ
「貴様ら…暗黒剣士か…！」
「あぁ。俺は暗黒剣士隊隊長ヴァサゴ。お前らを斬らせてもらう…！」
「果たして出来るかな？俺たちをなめないで欲しいね？」
薄緑の青年が威嚇してくる。
「出来るさ。お前らごときに負けるかよ。」
「カペタミス。そろそろ…？」
「そうっぽいね。っうし！」
「「システムコール。エンハンスアーマメント！！」」
ニーラは少々小柄な剣を抜いた。カペタミスは細く長い剣を抜く。
「そんな細っこい剣で勝てるとでも思ってんのか？」
「細っこいからこそ…！」
ヴァサゴが瞬きをしたその刹那。カペタミスにより右腕が吹き飛んだ。
「…は？」
今起きた現象について、ヴァサゴは理解することが出来なかった。しかし、理解する暇など与えずにカペタミスは更に仕掛ける。
ガキィン！
どうにか抜刀し、剣の鍔迫り合いに持ち込むヴァサゴ。早すぎる剣技に対応するのがやっとである。
ドドドドドドドドドドドドドドドド
突然、鼓膜を破らんとする轟音の連続が周囲の暗黒剣士全員を蹴散らす。
「…はぁ！？」
ヴァサゴの部下はニーラによって全滅した。そしてもう一度瞬きをすると。
仮想世界からログアウトしていた。
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作成日時：2019年11月23日 12時
