アリスの覚悟と夜戦の開始 ページ41
ソルスが地の底に沈み、青白いどこか神秘的な光が空間を満たす。雲一つなくすっきりと晴れた空だが、星の数がやたらと少ない。
「星…見えないな。」
あれから更に長い時間飛び続けた。夜ということもあり、飛竜を休ませるついでに私達もここで野宿する。
「ええ…。」
どこか寂しい夜空に、私は気持ちを重ねていた。あの空が続く先には一体何があるんだろう。ワールドエンドオールターに辿り着けば私はどうなるのだろう。私を守るために今も戦う仲間はどうしているのだろう。全てはこの夜空の下に答えがある。それなのに、いくら手を伸ばしても今知ることは到底叶わない。
「イーディスとエルドリエはギクシャクしてるけどいざとなれば連携出来る。ネルギウスとエントキアは実際に戦って強いのはもう分かってる。大丈夫だよ。」
「本当に…キリトには何でも見透かされていますね。」
少しの胸の高鳴りをなでおろし、私は現実に向き合い前に進む。それこそが、アリスへの報いとなり、一生懸命胸を張って生きるということなのだから。
幼い頃から、剣の才が君にはある。ずっとそう言われてきた。暗黒剣士団の勧誘は絶え間なく、是非我が隊に入って欲しいという言葉はもう聞き飽きた。そして、君は本当に変わっているという言葉も。同年代には、関わらないでくれという者までいた。しかし。そんな私にただ一人だけ、友達のように接してくれる者がいた。名を、フュエル・キュミステル・サスラー。この女性も、剣の腕は確かな物だった。
「ヴェイスは強いよね。」
「私は剣を振るうのみ。丹田に意識を込め、雑念は排除する。」
「それが強いっていうんだよ。掴み所もないし…それでも、剣の腕は確かなんだよね。私の死んじゃった親友は、力強い剣をしてた。けどヴェイスはなんだか違う。」
水の流れのように、激しく流れる如く剣を振るいたい。それが私の剣術。今、この瞬間でもそうするのみ。
「貴様らは、私により無へと帰する。」
三人の整合騎士を眼前に、私は長い白髪を後ろで風になびかせ、鞘から水廻攣止剣を抜く。水廻攣止剣は、一般的な片手剣の形をしている。だが。
「本当にそうなるかな！いくよ、ニーラ、シャリュマッテ。」
「カペタミス、がんばろう……！」
「任せてカペッペ！」
三人の気迫。戦わずとも伝わる。間違いなく三人共が強者。威嚇の意味を込め、私は大きく声をあげた。
「貴様らに残された猶予など等に失せた。これより終焉を始める！」
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作成日時：2019年11月23日 12時
