殺意のエンカウント ページ37
「「エンハンスアーマメント！」」
緑の輝きが、長い槍に力を与える。
「いけ、萌嵐槍！」
ネルギウスは、三体のジャイアント族に向けて槍を突き出した。その軌跡は旋回する風の刃となり、三体どころか、十体ほどのジャイアントをバラバラに切り裂いた。
「水泡沫・飛沫！」
エントキアは剣先を前に向け、弾けろと念じた。
ババァン！
強烈な爆発が、ジャイアントを蹴散らす。
「ここは私達がいる限り…」
「絶対通さない！」
「「リリースリコレクション！！」」
既に四人の整合騎士が最前線を離脱した。今も尚、私を守る為に一生懸命戦っているのだろう。私も加勢したい。しかしそれは、全員の労力を無に帰すのと同義。どうしようもないジレンマを抱え、私はひたすらに雨縁と飛び続けた。今残る者は、
ファナティオ、リザレク、シャリュマッテ、シェータ、ニーラ、カペタミス、キリト、ユージオ。
そして私。
これだけいれば…ワールドエンドオールターまで辿り着けるはずだ。そう私に言い聞かせる。もう誰も止める者は来ないでくれ。私の願いは、容易く阻まれた。私は剣を抜き、瞬間で全てを受け止めた。
「貴様…キリトに手は出させない。」
確かこっちがワールドエンドオールターだったな…あぁ、楽しみだ。もう一度人を殺せるんだから。今の俺の名前はヴァサゴなんてものじゃねえ。俺の名前はPoH。
「あぁ…本当に楽しみだ。」
この世界の特徴である、神聖術を使いこなし、超速度でターゲットであるアリスの元へ向かう。十数分程走り抜けたその時。飛竜の大群が見えた。そしてその大群の中央にアリスがいる…！？
「おい、おいおい、おいおい嘘だろ？」
見覚えのあるすかした顔。黒い若干癖のある前髪。そして何より…剣があそこまで似合うやつは他にはいない。間違いない。あいつは…
「黒の剣士…キリト…会いたかった。会いたかったぜ…ずっと、ずっとずっとずっとずっと！！！殺したいと思ってたんだよなぁ…早く殺させろよ。早く殺させろ！」
風素とやらを思いきり地面に叩きつけ、黒の剣士キリトに向けて友切包丁を突き付けた。
ガキィン！
黄金の剣が俺の包丁を止めた。
「貴様…キリトに手は出させない。」
「お前がアリスか…でも俺はそこのキリトに用があるんだよ！」
包丁を逆手に握り、もう一度キリトに向かって空気の中を滑らせる。
「手は出させないと言ったはず！」
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作成日時：2019年11月23日 12時
