リザレクが聞いたもの ページ34
「ユージオ。あなたに託したいことがあるの。」
「なんですか、改まって。」
「今から話すことは決して信じられるものではないと思う。」
だけれど…。
「ユージオにしか託せない。聞いてほしいの。」
「キリトやアリスじゃダメなんですか？」
「うん。」
私はあの時を思い出しながらユージオに喋った。私の知る事を。
これは、私が最高司祭を裏切るキッカケとなった出来事。
「アドミニストレータ様から命じられた南方の守護、とくに異常なし。雪鳴、帰ったらちょっとは休めるね。」
ぐぅと低く唸り、私の飛竜である雪鳴はカセドラルに降り立った。
「じゃあ、とりあえずアドミニストレータ様に報告に行ってくるから。ここで待ってて。」
雪鳴は口許を緩め、私を快く送り出した。カセドラルは華美な装飾があるわけでもなく、どこか殺風景だが嫌いではない。強いて言うなら、今まさに登っている階段が長すぎる事だが。発着場から百階までですら少し疲労感がある。仕事終わりということもあるが。
「やっと着いた…！」
長かった階段を若干見下ろし、あとは九十九階から百階までの昇降板を動かすだけ。
「や…い……出来てる…ね？」
「この声…アドミニストレータ様の？」
それに加えて知らない男の人。チュデルキンじゃない。途切れ途切れだが、耳を澄ませばうっすら聞こえてくるだろう。私は無言で、百階へと耳を澄ませた。
「ワールドエンドオールターっていう場所…消したり出来ないの？」
「何故消すんだい？」
「私以外に外の世界に出る者等要らないもの。」
「それもそうだね…でも消せないかな。」
「ラースも案外使えないものね。まあいいわ。あとどれくらい経ったら私のライトキューブを外の世界に出してくれるの？」
「それなんだけど…自発的にワールドエンドオールターから外の世界にログアウトしてくれれば僕が回収してイチエモン…いや、用意してある体に着けることもお願い出来ると思うんだけど。」
「それにはまだダークテリトリーに対抗できるほどの戦力が足りないわ。まだ実験段階よ。でも分かったわ。とにかくワールドエンドオールターに行けばフラクトライトを回収してくれるのね？」
「勿論だよ。因みに、外の世界には神聖術は勿論無いし、そっちよりも危険かもしれない。それでも来るんだね？」
「愚問よ。」
「わかった。手配しておくよ。」
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作成日時：2019年11月23日 12時
