暗黒軍との邂逅�� ページ28
風縫に乗り、上空からダークテリトリーを見下ろしていたレンリは、三つの人影を発見した。
「あれはベルクーリ騎士長…！それと…誰だ？」
大雑把に今捉えられる情報を脳内でレンリは整理した。一瞬でレンリの脳内で確定させることが出来た情報は全部で四つ。
黒の長い髪の男は整合騎士ではないが、ベルクーリを守りながら戦っていること。
ベルクーリが何故か剣を持っていないこと。
ベルクーリ以外の二人はそれぞれに神器を持っているということ。
あの衝撃は、位置からして恐らくベルクーリの起こしたものだということ。
レンリは、これらからどのような状況下に今自身が置かれているかを必死に考えた。ベルクーリがあの衝撃を起こしたということは、恐らく僕を含む整合騎士の誰かを呼ぶのが目的だったと考えていい。呼ばなければいけないということは、かなり追い詰められているということだ。それは、恐らく神器が無いから。もしくは、相手が相当の手練れだからだろう。幸い、雙翼刃の天命は徐々にだが確実に回復している。手助けすることは可能だ。推測だが、ここの戦況はあまりよろしくない。この距離なら、軽い一撃が精一杯だと思われる。なら、その一撃で隙を作れば。
「雙翼刃。いくよ。」
腰の小さい鞄から雙翼刃の一枚を取り出す。右手の人差し指と中指の間で挟み、自身の感覚を信じて照準を合わせる。
「風縫！」
僕の声に応え、風縫は左回りで旋回する。
「いけぇぇええええ！！」
軽やかな音と共に空を切った雙翼刃は、敵と思われる人物の右手に当たった。いや、正確には右手に限りなく近い剣の柄に当たった。突然の衝撃で、思わず右手を硬直させている。
「よし、ありがとう風縫。一旦降りよう。」
あの一撃で少しは有利になっただろうという希望を持ち、風縫と共に僕はダークテリトリーの赤黒い土を踏んづけた。
「おぉ。レンリ、あれに気づいたか？」
「はい、ベルクーリ騎士長。」
「相変わらず真面目だな、お前は。」
やはりあの衝撃の理由は予想通りであったことを確認してから、僕は現状を聞いた。
「ダークテリトリーの中でもかなり強い三人の精鋭がいる…と。」
「そんなとこだ。その内の一人が、さっき闘ってたあいつだよ。」
「なるほど…この人は？」
キリッとした目つきで、和風な服装を纏う青年はこちらを見た。
「拙者、名をリュウという。暗黒剣士の端くれだ。人界軍の方々に話したい事があり、参じた次第である。」
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作成日時：2019年11月23日 12時
