暗黒軍との邂逅�� ページ25
「拙者のことを訝しむ気持ちは痛いほど伝わる。しかしながら、事は一刻を争う。出来れば人界の偉い方々にも拙者の話を聞いていただきたい。」
リュウ、と名乗る暗黒剣士から悪意は感じられない。それどころか、切羽詰まる何かすら感じる。
「拙者だけではどうにもならないのだ。後で詳しく話すつもりであるが…あの三人の力は強大。皇帝ベクタ直属の部下であるが故、人界軍の目的の妨げとなることも十分に考え得る。どうかお願いだ。」
「お願いされてもな…俺は今飛竜を手放しちまった状態なんだ。移動手段が無くてよ…すまねえな。」
「いや、移動手段なら拙者の飛竜に乗れば良い。来い、扇桜！」
名を呼んだ後、口笛を吹いて飛竜を呼び寄せた。
「せんおう、か…良い名前だな。」
「整合騎士長に褒めていただけるとは…かたじけない。」
「俺とお前は名目上は敵同士だ。ありがたむような所はないはずだぜ？」
「そうであろうか？人界もダークテリトリーも、偉い人は偉いであろう。」
「ならベクタにも従うべきなんじゃねえのか？」
「拙者はベクタから直接命令は受けておらん。その時、たまたまオブシディア城から離れた土地におってな。友から知らせがあったのだ。起こっていることの全容が。逆らうにはどうすれば良いか必死で考えていた所に、騎士長が見えてな。懇願すれば聞いてもらえるのではないか…そう考え今ここに至るという訳だ。」
やはり、このリュウという人物は嘘を言っていない。気配で分かる。そんな事を考えていた時。剣を構えた一人の影が目の前に飛び込んできたのだ。手を腰に持っていくが、掴んだのは時穿剣の鞘では無くただの空気だった。
「リュウ、あいつは敵だよな？」
「拙者が言っていた三人のうちの一人…何故今出くわしてしまうのだ！」
金の短髪。前髪は少し長めで、片目が隠れている。目の色は橙で、ごく一般的な形の剣を握っている。
刀身からは銀色の輝きが放たれている。どこからどう見てもあれは神器だ。
「リュウはん…よう裏切ってくれましたなぁ？正直なところ、いつかはこうなるんちゃうかと思ってたところやったんや。昔、同じ剣士団にいたから言うて手加減はせんで。遠慮なくいかしてもらいますわ。システムコール。エンハンスアーマメント！」
「ここは拙者が闘います。騎士長には増援を呼んでいただきたいが…可能か？」
「直接呼びに行くっていうのはほぼ不可能だ。来るかわからんが賭けてみるか？」
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作成日時：2019年11月23日 12時
