ユージオの心意 ページ19
眩い光を眺め、僕は覚えずに口にしている。
「赤薔薇の剣…。」
僕の声に呼応するように、赤く染まった剣は形を成した。
「ユージオ、凄いぞ！」
キリトが興奮しているのが、目を見ただけで伝わってくる。宙に浮いた赤薔薇の剣は、やがて、体を翻して地に突き刺さった。周囲の地面は、赤き氷に包まれていく。僕は前へと進み、赤薔薇の剣を地面から抜いた。刀身は、鮮やかな赤。しかし、形は青薔薇の剣そのものだ。僕は、赤薔薇の剣を右手に握り更に想像した。
ぴかっ
小さい光が赤く瞬き、その中からは赤薔薇の剣の鞘が現れた。
「想像したら、なんでも出てくるんだね。キリトもやってみたら？」
軽く頷き、キリトは目を瞑った。辺りは静寂に包まれ、何も起こらない。
「だ〜！やっぱ出来ないよ。ユージオの心意力が強すぎるんじゃないのかー！？」
「そうなのかな？」
「多分そうだよ。ユージオはやっぱり剣の才能だけじゃないと思ってたんだよ！全く…誇らしい相棒だよ。」
「こっちこそ。キリトが居なきゃ、ここまで来れる事もなかった。ありがとう。」
「そう改まって言う事ないだろ。さあ、もうそろそろ来るぜ！」
正面に向き直り、ダークテリトリーの軍勢を今かと待ち構えたその瞬間。ぐわんっ、と時空が歪んだ気がした。空には門のようなものが浮かび上がる。そこからは現れてきたのは、様々な色の鎧に身を包む見覚えのないような暗黒剣士だった。
「嫌な予感がする…。」
キリトの直感は鋭い。必ず当たる。つまり、あいつらは人界にとって脅威になるということだ。
「僕達で出来るだけ片付けよう。」
「勿論。背中は預けるぜ。」
「任せて。」
その言葉を言い終わった瞬間。うぉおおという声が耳に飛び込んで来た。
「あの兵士…百…五百…いや、二千…？違う、もっといる。三万？ダメだ、数えきれない。けど、三万以上はいる。どうやって捌く？」
「僕の心意でやってみたいことがあるんだ。いいかな？もしかすると…。」
「任せるぜ。」
「ありがとう。システムコール。ジェネレートエアリアルエレメント。ディスチャージ。」
ボフッ
地に風素を大きく叩きつけ、ユージオは飛翔した。空に浮いたユージオは、巨大過ぎるほどの心意の腕で見慣れない剣士を分断した。三分の一程の剣士を人界軍後方へ。三分の一程は果ての山脈の向こう側へと飛ばす。なんとか成功したその刹那。キリトと剣士の戦闘が始まってしまった。
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作成日時：2019年11月23日 12時
