【おそ松さん】些細なことが、大事になりまして。【喧嘩松】

彼女の存在、... side 六男 ページ36

あの十四松兄さんの暴走が、止まった。


　


普段は兄さんたちに混ざってお遊び程度にしか喧嘩をしない五男。


　


けれど、兄さんにとっての大事な人。


　


つまり僕たち兄弟が傷つけられると、誰にも手がつけられなくなってしまう。


　


唯一、力でねじ伏せられるカラ松兄さんだけが十四松兄さんを止められる。


　


と、思ってた。


　


今、僕の目の先では、次男以外で初めて暴走を止めるという事態に遭遇している。


　


不破Aちゃん。


　


カラ松兄さんの恩人。


　


話によると、一松兄さんもらしいけど。


　


僕たち六つ子が、最近お気に入りの女の子。


　


　


　


『あんなに人を殴ったら手の皮膚も破れます！』


　


「うっ…ごめんなさい…」


　


　


　


拳を押さえて痛いと嘆く兄さんに、半分泣きながらお説教をしている彼女。


　


僕からしたら、とても奇妙な光景だ。


　


　


　


「トッティー？大丈夫？？」


　


「あ、うん…なんとか」


　


　


　


話は終わったのか、僕の方に来た十四松兄さんは体を起こしてくれた。


　


Aちゃんはというと、どこかに電話をしている。


　


　


　


「今ね、おそ松兄さんに連絡してくれてるの！後、救急車呼んでる」


　


「僕は平気だよ…？」


　


「ううん。あいつらのために呼んでるみたい」


　


「へっ？」


　


　


　


あいつらって、そこで倒れてるやつら？


　


　


　


『ごめんなさい、トド松さん。あなたを袋叩きにした人たちは許せないけど…あのまま放っておくことはできなくて…』


　


　


　


電話を終えた彼女は、僕の目の前に来て、拳を震わせている。


　


僕に申し訳ないって、ほんとに思ってる。


　


　


　


「…Aちゃんは、優しいね」


　


『え…？』


　


「Aちゃんが僕の傷の手当してくれたら、許してあげるっ」


　


『っ、あ、ありがとうございます…』


　


「へへっ」


　


　


　


心底優しい彼女を、責める気にはならなかった。


　


むしろ、その笑顔を見れたことが、とても嬉しくて。


　


僕も、本気になっちゃいそうだな。

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