【おそ松さん】些細なことが、大事になりまして。【喧嘩松】

暴走の静止、... side 五男 ページ35

トド松が、傷ついた。


　


たった一人の、僕の弟。


　


頭で考えるより先に、体が動いた。


　


Aにトド松を預けて、僕はトド松を痛めつけたヤツらに向き直る。


　


今の僕の頭の中にあるのは、トド松が傷ついたこと。


　


目の前のヤツらに、仕返しをしなきゃいけないこと。


　


おそ松兄さんは言った。


　


　


　


“兄弟のために戦うのは、当然だ。思いっきりやれよ？”


　


　


　


僕が初めて、やられた一松兄さんの仕返しをした日だった。


　


その日から、兄さんたちに混ざって喧嘩をする事はあっても、自分から行くことはなかった。


　


それはみんな一緒なんだけど。


　


でも、兄さんたちや弟が傷つけられたら、黙ってられない。


　


体が勝手に反応するんだ。


　


　


　


“僕の大切な人たちに、何をするんだ”


　


　


　


体と血の昇った頭に身を任せて、殴る。


　


蹴る。


　


あ、今日は金属バットないなぁ。


　


あれで叩くと、すごくいい悲鳴が聞けるのに。


　


謝ったって、許してやらない。


　


僕は怒ってるんだから。


　


　


　


『正気に戻って…十四松さんッッ！！』


　


　


　


後ろから聞こえた、声。


　


僕の赤くて、真っ黒な世界に、入ってきた白い光。


　


あ、A。


　


背中を掴まれて、ぎゅっと抱きつかれた。


　


僕の手は止まる。


　


　


　


「もうっ、もういいんです…！それ以上…やったら…あなたが…ッ」


　


　


　


泣きじゃくる声が聞こえる。


　


泣いてる、Aが。


　


　


　


「…あ……A…？」


　


　


　


だんだん、暖かいものを感じる僕の体。


　


…あれ？


　


　


　


「…っ、あーー！いってッ！！」


　


　


　


ナニコレ！


　


手がめっちゃ痛い！！


　


よくよく見れば、手が切れて、相手の血じゃない僕の血も混ざってる。


　


　


　


「…十四松兄さんが、止まっ…た…」

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