【おそ松さん】些細なことが、大事になりまして。【喧嘩松】

もし。 ページ18

「……ありがと」


　


『…え？なんか言いました？』


　


「…別に」


　


　


　


いやなんか言いましたよね。


　


もしや陰口？


　


泣きそう。


　


　


　


「…Aはさ、もし自分が医学の知識なくても…カラ松とネコのこと、助けた？」


　


　


　


あんたじゃなくて名前呼んでくれた。


　


……いや感動してる場合じゃない。


　


私がカラ松さんとネコを発見しても、何もできない人間だったとしたら。


　


同じように二人を助けたのか。


　


…んー、難しい質問だな。


　


わからないや。


　


　


　


『どうでしょう。つまりそれは、私が今の私ではなかったらの話ですよね？』


　


「…まあそうなる、かな」


　


　


　


私はお人好しで、放っておくってことができなくて。


　


何の見返りもないかもしれないのに。


　


自分にとって利益があると確信してるワケでもないのに。


　


見捨てられない性分。


　


それがあって、なおかつ医学的知識があるから、誰かを助けることができる。


　


それがない私だったら。


　


　


　


『助けるかもしれないし、見て見ぬふりをするかもしれません。それは今の私にはわからない』


　


　


　


だけど。


　


だけどきっと、これだけは同じだと思う。


　


　


　


『そういう状況に遭遇して思うことは、きっと変わらないです』


　


「…思う、こと？」


　


『この人が死んでしまうかもしれない。それは嫌だな……って』


　


「……」


　


　


　


彼の欲しかった答えじゃないかもしれない。


　


でもこれだけは、きっと思う。


　


　


　


『私今日は寄るところがあるので、失礼します』


　


　


　


曲がり角まで来るとスーパーの方へ行く道に。


　


一松さんに一礼してから、その道を歩いていった。


　


　


　



　


　


　



　


　


　


　


　


　



　


　


　



　


　


　


「……それってつまり、助けるってことじゃん…」


　


　


　


彼の呟いた一言なんて、聞こえてない。

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