思い上がり ページ1
＋＋＋
とにかく、少しでもマサトの部屋から遠ざかりたくて、あてもなくズンズンと歩いた。
途中でコートを忘れたことに気付いたけど、今さら戻りたくはない。
街はクリスマスのイルミネーション一色で、恋人同士が手を繋いで楽しそうに語らっていて…。
思わず、眩しすぎて目を伏せた。
不思議なことに、あんなに怖かったのに、やっぱり涙は出なかった。
恐怖と、悔しさと、そして…自分の愚かさへの情けなさで頭がいっぱいで。
バカだ、私。
付き合っていた時と同じ感覚で、深く考えもせずに、のこのこと彼の部屋まで行って。
そのくせ、もう別れたんだからと、マサトがあんなことするだなんて微塵も警戒していなくて。
悪いのは絶対的にマサトの方だとは思う。
だけど、別れているのに付き合っていた頃と同じ距離感で無防備に信頼してしまって、結果的に私の油断もマサトにそんな隙を与えてしまったのかもしれない。
思い出したくないのに、勝手にあの時のマサトの哀しそうな眼差しが頭に浮かぶ。
あんな風にマサトが私のことを思ってたなんて、考えてもみなかった…。
純粋な友情？
良いお友達に戻った？
…本当に、バカだ私。
救いようがないくらい、大バカだ。
自分の気持ちでいっぱいいっぱいで、マサトの気持ちなんて考えもせず…
勝手に「二人で納得の上で別れた」なんて一人で悦に浸ってた私は、本当に思い上がりもいいところだ…！！
＋＋＋
気付けば、無意識のうちに通勤経路を歩いて、いつの間にか職場の近くの通りまで来ていた。
さすがにコートも着ずに歩くと寒い。
何となく周りの人からの視線を感じて、目の前のショップのショーウインドウをふと見ると、自分がコートを着ていないだけでなく、髪も乱れて、シャツブラウスの第一ボタンも開いて、ひどい恰好なことにやっと気付いた。
やだ…とにかく、タクシーを拾って、早く帰ろう。
髪を手櫛で整えて、胸元を右手で掴んで隠し、大通りへと足を向けたとき。
「お嬢さん、何してんの？」
不意に、後ろの建物の陰からキャップを目深にかぶってストールとマスクで人相を隠した男の人に、耳元で囁くように声を掛けられた。
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kico(プロフ) - ゆたさん» ゆたさん初めまして^^わあ、懐かしい話にコメント頂けて嬉しいです！柔軟剤は実在してないんですよ。匂いのイメージは昔使っていた柔軟剤ですが今は主流のアロマ系に押されて見なくなりました;;優しい匂いで好きだったのになあ。嬉しいご感想もありがとうございました♪ (2016年4月30日 12時) (
レス) id: d5099234ba (このIDを非表示/違反報告)
ゆた(プロフ) - 初めまして。お話に引き込まれて一気に読みまくりました。久々に胸キュンで切ないお話に出会えてすごーく嬉しかったです(*^^*)質問なのですがこのお話に出てくる柔軟剤は実在するのですか？匂いが気になってます。 (2016年4月29日 18時) (レス) id: ea4630928f (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - うさぎさん» コメントありがとうございます♪早くお互いの気持ちに気付いてほしいですよね。…あ、その前に主人公ちゃんは自分の気持ちに気付かないと！次回移行からスタートになりますが、ぜひ覗きにきてやってくださいね^^＊ (2014年12月14日 2時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 二宮さんと主人公のこれからがすっごく気になります！主人公、早く二宮さんの気持ちに気付いて！次の更新楽しみに待ってます（＾ω＾） (2014年12月14日 0時) (レス) id: 7389c1c53c (このIDを非表示/違反報告)
kico(プロフ) - しろさん» 人間いろいろ経験すると難しく考えてしまうけど、頑張って一緒に進んでほしい＞＜///！！←自分で書いてて言ってます(笑)話が終盤に向けて少しずつ動き始めますが、これからもどうか見守ってやってください♪ (2014年12月12日 11時) (レス) id: e6fa685b25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2014年11月26日 6時
