おかえりなさい。【KN】 2014.9 (ページ3)

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ご褒美ページ3

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『先に言っておくけど、行ったら、オレ２週間近く帰って来れないからね』

『２週間近くも！？』

『そ。あっちにいる間の仕事がバンバン入っちゃってね。ありがたいことだよ、ホント』

『……』

『事務所が押さえてんの、すげーいいホテルなんだって。
食事も評判良くて、設備もね。
プライベートビーチとかプライベートスパとかあるらしいよ』

『そうなんだ…』

仕事以外はオフなんだよねー…と、片肘ついて顎を支えたまま、和也はいつになく楽しそうで…

『…なーに、ニヤニヤしてんの』

不意に和也が私の頬をうにょーんと引っ張った。

『へ(べ)つにー(笑)』

一緒に行けないのは寂しいけど、こういう素の和也をこんな近くで見つめていられることが何だか嬉しい。

でも、和也は私が嬉しそうなのが気にいらないのか、ちょっと目を細めて口を尖らせた後、ふうと息を吐き出して続けた。

『…で、調べたら、今ならまだ一部屋くらい、何とか押さえられそうなの』

『え？』

『行っても頻繁に出歩いたりはできないんだけどさ。
でも、ホテルのプライベートビーチとか、スパとかならさ、一緒に日本じゃできない旅行気分っての？そーいうのちょっとは味わえるかもしんないよ。
A、そーいうの憧れてたじゃん』

『…え？…なんで？
和也にそんな話したことないのに、なんで知ってるの？』

『わかるに決まってんでしょ。
何年一緒にいると思ってんのよ(笑)。
…っていうかさ、よくもまあ、あそこ連れてけー、ここ連れてけー、なんて我が儘言わずに一緒にいるよね』

和也が顎を擦りながら笑う。

そうだね。確かにそういう我が儘は言ったことがないかも。

『たまには、さ、いんじゃない？…我が儘言ってもさ…』

和也が私を抱き寄せて、耳元で囁いた。

『…ハワイは、Aへのご褒美になんない？』

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