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＋＋＋
感情をぶつけてくるような和也の指先に翻弄された。
早いペースであっという間に戯れの波に攫われて、軽く高みへと押し上げられて。
力が抜けたと同時に、休む間を許されずに大きく開かれる。
「！」
いつもと違い、すぐにでも入ろうとして余裕なく宛がわれたそれがまだ隔てられていないことに一瞬戸惑うと。
「…っ」
そのわずかな瞬間の私の逡巡で気付いた和也が、ぐーっと苦しそうに顔を顰めて押しとどまった。
「……A…」
「ん…」
余裕はなくても…優しいキス。
上体を起こしてベッドサイドの引き出しへと伸びた左手、取り出された薄いパッケージ。
ああ…
こんな夜でも私の気持ちと身体を最優先してくれる理性が嬉しくもあり、そうするしかない現実が切なくもあるけれど。
あのスイートルームでもらった、和也の言葉。
確かめ合えた気持ち。
大切な記憶が、私たちを導いてくれている―――――。
＋＋＋
準備を整えた和也と見つめ合う。
「かず…な…」
名前を呼ぶ途中で、人差し指がそっ…と私の唇をなぞった。
最後まで発せられなかった言葉を飲み込む私を見つめる瞳がゆらりと僅かに揺れ…
「オレが先」
「…え？」
どういう意味だろう…と思わず首を傾げると、前髪越しに潤んだ眼差しに射抜かれた。
目が逸らせない。
薄茶色の瞳に吸い込まれてしまいそう―――――。
しばらく見つめ合った後。
私の耳に、視線を合わせたまま切なげに口角を上げた和也の声がハッキリ届く。
「―――好きだよ、A」
「！」
「すっげえ好き……」
「///！！」
ああ……！！！
ドキンッ！と心臓が大きく甘く音を立てた。
別に、初めて口にしてもらったわけじゃない。
転勤話の時には真面目な顔で何度も言ってもらったし、今もピロートークでは時々照れたように言ってもらえてる。
それに、わざわざ言葉にしなくても、和也からの気持ちは普段の仕草や表情で十分受け取っているつもりだけれど。
愛しい人の口から真剣な眼差しで発せられたまっすぐな言葉は、やっぱりすごい力を持っていて。
今夜のこの状況だったら、欲望のまま何も言わずに繋がって終わってしまっても不思議じゃないのに。
まさか、面と向かって、貴重な言葉をストレートにもらえるとは予想すらしてなくて。
「え…もしかして…和也、まだ酔ってる…？」
「酔ってない」
とっくに酒は抜けてる、と間髪入れずに返された。
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kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
