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「…どうしたの…？…何か…あった？」
「……」
事情はわからないけれど…なんだろう…
言葉にできないやり場のない感情が、私の心に直接伝わってくるような…。
「和也…」
私も名前を呼んで、精一杯抱きしめ返してみた。
「A…」
和也の腕の力が、少しだけ緩む。
代わりに、私がさらに力をぎゅっと籠める。
「うん」
「……」
「大丈夫。私は…ここにいるよ…」
「……」
「ここにいるから…」
「…ん」
「……」
「A…」
顔を覗き込まれて見つめ合ったかと思うと…ちゅっと軽く唇が触れ合った。
切ない表情。
私を映している茶色い瞳がもの言いたげに細められて、再び唇が重ねられた。
ひんやりした唇の、冷たくも柔らかな感触が、一度、二度、三度…
愛しい人に何度も口付けられて、触れ合うだけだったそれが深さを増してきて熱を帯びてきて…
気付けば、手に持っていたキャップはするりと落ちていく。
＋＋＋
寝室のドアを開け、電気も点けずに縺れるようにして、2人でベッドに倒れ込んだ。
何度もキスを交わしながら、和也の手が部屋着の下を滑っていく。
いつしか身に付けていた物は全て剥ぎ取られていて、ベッドの下に落とされていた。
触れ合っていた唇が離れ、そっと目を開けると…
いつの間にか同じように服を脱ぎ捨てていた和也が、上半身を両腕で支えた状態で私をじっと見下ろしている。
どこかつらそうで、やはり何か言いたげなその眼は、真っ直ぐに私を見つめてくれていて。
僅かに入って来る外の灯りに、私の身体は晒されていて。
でも…
恥ずかしい筈なのに、今はそれよりも和也への気持ちの方が勝っていた。
「…和也が好き…大好―――」
最後まで言わせずに、力強く唇を塞がれる。
酔い痴れる口付けの息継ぎの合間。
「オレも…」
未だに一言そう付け加えられるだけで、嬉しくて泣きそうになるなんて言ったらまた笑われちゃうね。
「A…」
「あ…」
息継ぎの合間に、耳を食まれながら掠れ声で囁かれた自分の名に震えた。
言葉は要らない。
ただ重ね合う。
首筋を辿って喉元を吸い上げた唇が再び私のそれへと戻り、左手は休みなく肌の上を這っていく。
こんな感じで性急に求められるのは初めてじゃない。
ただ…
今日は、いつも以上に昂っていて余裕がなくて。
「…A…っ」
「は…」
気を抜くと一瞬で征服されてしまいそう。
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kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
