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立ち上がって廊下を数歩進んだものの…
和也はふらついてすぐに立ち止まり、廊下の壁に手をついた。
手から肩へと崩れるようにして右半身で身体を支え、休んでいる。
「…はぁーーー……」
溜息にも似た…長い吐息…。
年が明けてからのハードスケジュールで疲れが溜まっていたところに無理に飲んだのかな…
かなりつらそうに見える。
「和也…大丈夫？…リビングまで歩けそう？」
背中にそっと手を添えてみると、下を向いた和也が俯いたまま「……A？」と私の名を呼んだ。
「うん。…おかえり。…つらい？」
「ん…。ちょこっとね、あー…くっそ、のみすぎたかなー…」
「…大変だったね。お疲れさま。…お水持ってこようか？」
「や…いーよ。あるける…」
「…わかった」
覗き込んでみると、顔色もあまり良くない。
踏み出した足元がふらつかないように身体を支えたくて、キャップを反対の手に持ちかえた。
脇に右肩を入れて支えようとしたけれど…
重い！
力が抜けた人を支えるのは、踏ん張るだけで精一杯だ。
非力な自分が情けない。
せめてこんな時くらいは、和也をしっかり支えられる存在でありたいのに…と思った瞬間。
体重を掛けるようにして、立ったままぎゅっと抱き締められた。
「なっ！ちょっ…！」
「Aだー」
「…や、やだ、どうしたの(笑)？」
「んだよ…ちゃあんと、いるじゃん…」
「…え？」
「……」
「和…也…？？」
「…っ」
「きゃ！」
ますます強く抱きしめられて、私まで足元がふらつきそうになる。
「ねえ…待って、この体勢は危ないよ…。身体、つらいんでしょう…？」
肩を支える体勢に戻したくて、やんわりと腕を解こうとすると、逆にぎゅーっと強く力を込められた。
離してもらえそうにない。
もがいていると、「A…」とまた名前を呼ばれた。
さっきよりも小さくて…
絞り出すような声。
それがなぜか、とても切なく響いて聞こえて…私は力を抜いた。
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kico(プロフ) - ゆうきさん» 初めまして。自己満足で書いてきた勝手な妄想ですが楽しんで頂けたのなら嬉しいです。もう新しいお話は書きませんが、いつかどこかで何かのご縁があった時には♪どのお話にも愛だけは目いっぱい籠めて書いてきました。最期まで読んでくださってありがとうございました^^ (2020年10月12日 9時) (
レス) id: 890f6f329d (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - 初めて送ります…ウラつく読者デビューは、この作品でした。とても楽しく読ませて貰いました。もっと読みたいなあと言うのが正直な気持ちです。 (2020年10月9日 20時) (レス) id: 62321c58f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kico
| 作成日時：2016年3月26日 12時
