青城の男装少女は雨柱

18ダメね ページ21

〜Aside〜

まぁ、なんやかんやで放課後。


急いで体育館に行くと、まだ誰もいなかった。


　
『……………準備しよ。』ﾎﾞｿｯ


ボールを出して、スポドリの準備をしようとカゴを持つ。



あ、誰か来た。気配で分かる。


「………っ！？……………雨森…」

　


『国見…早いね。』

「……………。」
　


国見くんはなにかを言いたそうにしてちらちらと僕を見てくる。

何かあるなら言えばいいのに。


『なに？』


「ねぇ……………雨森ってさ、」
　


「ちょっ、叩かないでよ岩ちゃん！！」


「あ゛？うっせえクソ川」
　



及川さんと岩泉さんが来たことで、国見くんは話すのを辞めてしまった。


『なに？』

「いや、……………何でもない。」


そこまで言われると気になるんだけど。
　

　
　

「あ〜、雨森って及川さんの事好きなの？」



は？


『好きってどういう意味？
　
どちらにせよ、別に好きとか思った事ない。

寧ろアオイに変に絡んでたから嫌いの方が近いけど。』


「……………ふーん」

　

「えっ、ちょっひどいよアメノちゃん！」


「ハッ、ざまあみろクソ川」




『国見、本当は………なにを言おうとした？』

「ッ！？」


バレてるよ。今聞いてきたのが誤魔化しだってことくらい。


「ここじゃ言えないから、また後で。」


『分かった』


ここじゃ言えない？なんで？


みんなにバレたら困ること………


国見とは特に何もなかったし………いや、


今日の朝！起こしてもらった時、もし僕が女だと気づいてしまっていたら……………！！

　


『待って、分かった。やっぱりだめ、今。』


そう言いながら体育館の外へ連れ出す。


残された先輩達は？を浮かべて突っ立っている。


　
　
　
　
　
『国見………くん。』

「っ！？」

『気づいたんだね。そうだよ。』

「なんで………わざわざこんなこと。」
言ってしまってもいいのか、

『僕、みんなに言えないことしてる。それがバレたら困るから、こうしてるの。』


「言えないことって………何？」
　

『言えないこと。別にそれだけ。
誰にも言わないでね。僕の事。』

「何してるの？わざわざだんそ……」

その先はだめ、だって先輩達が聞き耳立てて覗いてる。
　


咄嗟に顔を近づける。


僕にはこれしか止める方法を知らなかった。


唇に柔らかい感触。

10秒程、触れるだけのキスをした。

流石に驚いたようで、戸惑っている。

　

　

国見くんも、先輩達も。

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