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肆拾 ページ41



きっつい。マジできつい。ほんとに。


今何周目だっけ……


朝起きたら早々に、とりあえず家の庭を100周走って来いって言われた……


この家いや邸。豪邸の庭。馬鹿みたいに広いんだよ。


朝ごはんも食べてないのに。


酷くない?せめてさぁ朝ごはんは食べたいよ?



『ぜぇっ、はっ、はっ、ぜっ、ぜっ、うっ……』


もう、息、できな……


「A、終わりだ。おつかれさん。ほい水」


『ぜっ、はっ、はぁっ、あり、がと、ございます』


「お前何周走ったんだよ。1時間たっても全然戻ってこねえから見に来たら、俺が来てから80周は走ってるぞ」


え?


『いつ、はあっ、来たんですか…』


「1時間前くれぇかな」


1時間たっても戻ってこなくて来てみたら1時間で80周してたと。


えっ、絶対100周以上走ってんじゃんか。


『絶対100周以上走ってるじゃないですか…止めてくださいよ。』


「自分で数えてねぇのかよ」


『途中で分からなくなりました。というかお腹すきました。朝ごはんも食べずに走らせるとか鬼ですか??』


「神だ。」


『あーはいはい神でした。』


「てめぇ地味に流してんじゃねぇよ!」


イタイなぁ(笑)





『美味し〜……至福だ……』


「A、御館様がしばらく遠方の任務を無くしてくださるそうだ。俺とお前のな。御館様は1ヶ月で足りるかと仰ったが俺は2週間でいいと言った。」


『つまり2週間で音の呼吸を身につけろと?』


「そうだ。朝の走り込みでお前は恐らく100周以上走っていたが意識して呼吸使ったか?」


呼吸…雷の呼吸かな…

いや、走ってた時は前世の学校の授業と同じ走り方をしてた筈。


あれでも十分キツかったけど多分前世だったら10周くらいでぶっ倒れてたな…

あれ?じゃあなんでそんなに走れたんだ…?


『使ってないです。普通に走ってました。』


「じゃあ恐らくだがお前は既に全集中常中を身につけている。」


全集中常中。


それは、全集中の呼吸を24時間365日寝ている時も続けるというもの。これが出来ないと柱になれないらしい。


『えっ、あのきっつい呼吸を?私が?ずっとやってんですか?

まあ確かに最近雷の呼吸する時呼吸楽だなって思いましたけど…』


「うん、やってる。信じられないなら蝶屋敷に行って瓢箪割ってこい。」


瓢箪?瓢箪って割るものだっけ……


「胡蝶が持ってる瓢箪は特別硬いからな。そいつが割れれば常中は身についてるって訳だ。」


『はぁ……なるほど…?』

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作者名:榮凪 | 作成日時:2020年2月23日 23時

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