１７：ストーカーと放火魔 ページ17
ヒストリア「……ごめんって思うなら、うちに来て。お父さんもお母さんも、もう全部知ってるから。」
A「……いや大丈夫だって。今から家探すし、その間はネカフェとかで寝泊まりするから。」
ヒストリア「だめ。絶対にだめ。」
A「なんで。別に一人で大丈夫だよ。」
ヒストリア「……火事の原因、何かわかった？」
A「原因……？…いや、まだ調査中だって、警察は言ってたけど……」
ヒストリア「もし………もし原因が誰かによる放火だったら、その犯人、前にAが言ってたストーカーかもしれないでしょ……」
その言葉を聞いて、そういえばとハッとした。
火事の元になるものなんて家にはないのに、私の家は燃えた。
放火魔による犯行だと言われれば、納得がいく。
家が燃えたことばかり気にして、そんな単純な思考もできていなかったことに驚いた。
本当にちゃんと冷静にならなきゃ。
ヒストリア「そんな中Aを一人になんてさせられない。絶対だめ。」
私は再度アイスティーを口に含み、一呼吸置く。
そして小さな無言の後に、冷静な口調でヒストリアに話した。
A「それなら、なおさらヒストリアの家に行くことはできないよ。」
ヒストリア「…な、なんで！？」
A「ヒストリアの家まで燃やされたらやばいでしょ。相手は全然関係ないアパートの住人も巻き込んで火事起こすような奴なのに。それならまだ夜も人の目があるネカフェとかで過ごした方がいい。何かあっても監視カメラもある。」
ヒストリア「で、でも………」
A「大丈夫だってば。ヒストリアと話して、ちょっと落ち着いたし。また何かあったら電話するから。」
ヒストリア「あっ、ちょっと待っ──！！」
私は強制的に通話を切った。
これ以上話しても、ヒストリアは危ないの一点張りだろうから。
それに私の考えの方が理にかなってる。
A「まぁだからとりあえず──……家探そう。」
私は連絡アプリの通知をオフにして、家探しを始めた。
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作者名：楼 | 作成日時：2022年9月15日 22時
