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file3,奇策ヤード ページ9

――目が焼けるように熱くなる。

『ご、ごめんシンタロー。俺トイレ行ってくるわ!』

「は?」

シンタローは不思議そうに首を傾げた。

『すぐ戻るから!!』

「お、おい?」

シンタローの言葉に耳を貸さずにその場から離れる。

『っ……はぁっ………!』

あの時の記憶が脳を直接刺激する。

人気のない階段に隠れるように入り、サイフを出した。

『…カッター常備とか、本当に危険人物だよな。』

リストバンドをずらすと、幾つもの傷。


俺は、あの二年前から何か変われたのだろうか。

目の奥が熱くなるのと同時に、あの時の光景が広がっているような気がした。

そして、アイツの声。


"サヨナラ、しようか。"

…やめてくれよ。


"ごめんね…ユウキ。"


泣くぐらいなら往かないでくれよ…!


手首にカッターの刃を当てた。

その時。

「おにーさんっ、何してるの?」

『!!』

突然背後から声をかけられ、咄嗟にカッターを隠して振り向く。

そこには俺と同じかひとつ下くらいの猫目の男。

『え、えっと…?』

「あぁごめん、別に怪しい者じゃないから!ただ…。」

そいつは俺の顔を覗きこむように近づいた。

「さっき見かけたときに"面白い目"をしてるなと思ってさ。」

『え?』

面白い目?何を言ってるんだコイツは…。

なんだかよくわからないが――――ヤバい。

『そ、そうですか!俺、友達待たせてるんでそれじゃあ!!』

「え、ちょ待っ…速っ!」

本能的に危険を察知した俺は猫目を置き去りにした。

これでも中学の時は陸上部、そこらのシロートが追い付くには無理があるだろう。

『…そういや、いつものアレも治まってる…。』

もう目の奥の熱さはすでに消え去っていた。

相変わらず心臓が握り潰されるような感覚に襲われるが、治まっていればあとは平常心を取り繕うのみ。

『早いとこシンタローに合流するか…。』

俺はシンタローを探し始めた。

『…ん?』

早速シンタローを見つけた。だが…、

『何やってんだアイツ。』


シンタローからキノコが生えていた。←

『おいシンタロー。』

「うぅ……。」

『ニジオタコミュショーヒキニートォ。』

「…………。」

ダメだ、反応ナシ。

ふとシンタローが付けているイヤホンに気がついた。コイツさっきまでそんなのしてなかったよな?

不思議に思ってシンタローのイヤホンを片方借りる。

そこから聞こえたのはまず環境音。そして変な声が聞こえてきた。

"あのぅ、しゅみましえぇん…ぴーしーよぉひんってどこでしゅか…。"

………は?



ツンデレあざす!→←それお前が危険人物www



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稀羅(プロフ) - 生クリィ〜ムさん» エネちゃんかわいいですか、ありがとうございます!!これからもエネちゃんに注目してやって下さい!応援ありがとうございました! (2014年3月28日 21時) (携帯から) (レス) id: 0a116ef314 (このIDを非表示/違反報告)
生クリィ〜ム - エネマジかわいいわー更新頑張ってね〜〜 (2014年3月28日 15時) (レス) id: 4489838bdb (このIDを非表示/違反報告)
稀羅(プロフ) - Luis Seidi Hissatomiさん» 応援ありがとうございます、今後もよろしくお願いします!!   稀羅 (2014年3月26日 22時) (携帯から) (レス) id: 0a116ef314 (このIDを非表示/違反報告)
Luis Seidi Hissatomi(プロフ) - 続き頑張ってください (2014年3月26日 16時) (レス) id: 795643eca4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:稀羅 | 作成日時:2014年3月24日 21時

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