Kleinod Ⅳ (ページ27)

今日:6 hit、昨日:23 hit、合計:144,167 hit

36:untersuchung ページ27

ジェシー「ひえー、ぐっちゃぐちゃだ」
京本「ここ特に乱闘の後酷いね」
ジェシー「何か変な液体の跡ある！」
京本「こんな実験室、俺らの時にあったっけ？」
ジェシー「さぁ？俺は知らない」
2人が入ったのは、寝台が1台置かれただけの実験室だった。
少し奥まった場所にあったその部屋は、特に乱闘の後が酷く、倒れている点滴やら大量の赤黒い痕やら散乱されたファイルやらで散らかっていた。

京本は真っ先にその散らかったファイルを拾い上げ、ペラペラとページを捲った。
ジェシーは薬瓶のある割れた棚の方を探索し始めた。
ファイルに書かれているのは今までの被検体の実験データ。
その多くに記されていた「実験中に拒絶反応を起こし、処分処理」という文言にゾッとする。

想像以上にこの国は残忍な事をしている。
実験の協力に拒んだ者を処分して、拒絶反応を起こして使い物にならなくなった者を処分して。
それがここまで露呈していないのは、きっとこの国の巨大な権力とかそういう「大国」ならではの嫌な事情なのだろう。

ジェシー「…大我？大丈夫？顔色悪いよ」
いつの間にか隣に立っていたジェシーが、京本の顔色を窺うようにこちらを覗き込んでいた。
京本「うん、気にしないで」
ジェシー「何それ、何のデータ？」
京本「被験者のデータ。…まああんまり見てて気持ちのいいものじゃないよ」
やんわりと遠ざけると、ジェシーは唇をむぅ、と尖がらせ、戦闘の跡の残るデスクの方を漁り始めた。