Kleinod (ページ9)

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思っていたより数の多い刺客に、薄々嫌な予感を感じる。
もしかすると、ホテル含めてグルなのかもしれない。
となると、あの女は捨て駒か。だったら殲滅しておいた方がいいだろうか。
…いや、数人生かして引き渡して何処の奴等か情報吐かせないといけないか。

京本『えぇ、何これどこにいたの？』
田中「概ね死角か天井だね」
京本『樹生きてる？』
田中「生きてる余裕だわこんなの」
ジェシー『HAHAHA！これホテル内戦争じゃん俺も行っていい？』
京本『えぇ？いいけど』
田中「いや来んなよ！俺の見せ場なくなるだろ！」

情報室に入ってきたらしいジェシーの大声が耳によく響く。
別の意味でうるさいが、「あれ」の声を聞くよりかはマシだ。
1人で殲滅出来る程度の刺客は、敵わないと悟れば逃げていく輩も多い。
しかしそれを彼が逃す訳がない。
音もたてずに現れた彼に、悲鳴を上げる隙すら見せず敵は全て鉤爪の餌食に遭う。
やっぱり、グループ全体で行う任務の方が100倍楽しくて100倍好きだが、やりやすさは1人の方が上だ。

だから「あれ」はそれに付け入ってメンバーから引き離そうとずっと喋り続けるのだろう。
慣れ合うの等効率が悪い、あんなグループ等にいるから任務の出来も悪い。
「力」を手に入れたお前なら、わざわざ慣れ合う必要などない。
全ては1つでも多く与えられた仕事をこなす為、ほらほら、早く「兄」のようになりたいのだろう？
田中「あぁもう黙ってろ！」
ジェシーが騒ぐ声すら掻き消すように大声をあげて語る「あれ」に、苛立ちの声をあげる。

《いいや黙らない、俺が生き続ける限り俺は俺の中に存在する》
無慈悲な言葉は相変わらず突き刺すようにせせら笑う。
その声が、自分の声と全く一緒の声なのだから余計に気持ちが悪い。