11. 走り出せ疾風少女 5 ページ23
.
猪鹿蝶の三家族が集まると結構な団体客になってしまったので、二席用意してもらい、子ども組と大人組とでテーブルを分けることになった。
チョウジが大食いであるため、注文する肉の量はかなり多いけれど、あちらはあちらでチョウジの父親チョウザさんが居るだけに、それ以上に凄い量が運ばれて行く。
「A、それ食べないならボクがもらうよ」
『あー！！ 育ててたのに！ っていうかそれまだ赤いよ！』
「何やってんのA。チョウジと焼肉行く時は一時も油断しちゃだめって言ったじゃない！」
育てていたタン塩の最後の一切れをチョウジに奪われてしまった。涙が出そうになるのはその悔しさのせいか、焼肉の煙のせいか。
モグモグ幸せそうにその一切れを食べているチョウジを見ていたら、何だか可愛らしくて憎めなくて。だから代わりに、隣のバンビが箸でつかみ口へ運ぼうとしていたタン塩をパクリと横取りしてやった。
「あっ！？ お前！」
『おひひー』
「おいしー、じゃねーよ。ったく……」
バンビは呆れたように行き先を失った箸を皿の上に戻す。チョウジにこんな事をしたらどうなるか考えるだけ恐ろしいけれど、バンビは食べ物のことでムキになったりするタイプではないから、結局は許してもらえるのだ。
口の中のタン塩を堪能しながらふと視線を前へ戻すと、何やら興奮しているかのように目を見開いた、口元が緩みっぱなしのいのと目が合った。
「きゃーーっ！」
突然彼女が発した悲鳴のような甲高い声が、皆の耳を劈く。み、耳が痛い。
『えっ！？ いのどうした！？』
「どうしたもこうしたもないわよ！ もー、そういうことだったのねー！ シカマルにはもったいなすぎるけど、まぁ応援してあげるわ！ サスケ君はダメだけどねー」
「お前何言って……」
「だって、"あーん"なんかしちゃって……しかも間接キス！ 仲がいいにも程があるでしょー！」
『いやいや、今のはそういうやつじゃな゛……！けほっ！ こほこほ……！』
全くそういうつもりではなかった。他所から見たらそう見えるのか。
いのの発言が予想外すぎて口の中のものが喉につまりそうになり、むせた。
→
11. 走り出せ疾風少女 6→←11. 走り出せ疾風少女 4
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 648人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リアアカ厨 - 最&高！ (2019年4月3日 18時) (
レス) id: 8a79e93161 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ミファルさん» わー！ ありがとうございます！ ギャグがちゃんとギャグになっているか不安だったのでとても嬉しいです(*´∨｀* ) (2016年7月7日 23時) (レス) id: f949291a40 (このIDを非表示/違反報告)
ミファル - 読んでいて楽しいです！思わず笑ってしまいました（笑）更新頑張ってください！蔭ながら応援してます！ (2016年7月4日 22時) (レス) id: 88acae9178 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - ミラクさん» 嬉しいです(*´∨｀* ) お転婆でよく暴走しますがこれからも宜しくお願いします(？)！ (2016年7月3日 14時) (レス) id: f949291a40 (このIDを非表示/違反報告)
いしだ(プロフ) - 黒兎さん» ありがとうございますぅう！ 亀更新ですがこれからも頑張って参ります！ (2016年7月3日 14時) (レス) id: f949291a40 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いしだ | 作成日時：2015年11月30日 20時
