◇110 (2017/03/16) ページ12
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……謝らないで下さい」
Ｓ「……………」
「惚れちゃってたら、土下座でもなんでもさせて謝らせますけど」
Ｓ「………ふふっ」
まるで迷子の子供がしがみついてくるみたいに、櫻井さんは私を腕の中に収めたままで。
「だから惚れるなって言ったんですね」
Ｓ「………うん」
「だからお兄ちゃんみたいだったんだ」
Ｓ「………そうなの？」
ちょっとだけ力を緩めた櫻井さんの腕の中、どうしてかそのままにしておきたくて。
「………お兄ちゃんいないけど」
Ｓ「……いねえのかよ」
「いたら、こんな感じかなって」
Ｓ「イケメンで仕事も出来て外では優しい兄なんていたら自慢以外の何物でもないよね」
ゆる…と私の頭に乗せられていた手が、いつもみたいに優しく髪を梳く。
「ふふっ……お兄ちゃん」
Ｓ「……え、何が始まんの」
「……お兄ちゃんはさ？」
Ｓ「え、ソレ付き合わないとダメ？」
ふっ…と小さく笑うのが聞こえて。
いつもの櫻井さんに戻ったように感じたのが、やたらと嬉しくて。
聞いてみようか？
やっぱり止めておこうか？
生じた迷いに言葉を止めた私に、先を促すように肩に乗った顎がカクカクしている。
「あの、です、ね？」
Ｓ「何でしょうか？」
「櫻井さんは……好きでもない相手でも…その、キス、とか、出来ちゃったり、しちゃっ、たり、します？」
Ｓ「……………は？」
バッ！と。
効果音でも付きそうな勢いで私から離れた櫻井さんは。
「は？」の顔をしたまま至近距離から、激強目ヂカラ砲を放ってきた。
Ｓ「なに……されたの？」
「え、あ、いや、たとえ話…」
Ｓ「だとしたら下手くそ過ぎだって……って、はぁっ！？お前、何だよコレ！」
ジロジロと私の顔を見回していた櫻井さんの視線が、私の鎖骨辺りで止まって。
どこのヤンキーですか…みたいに眉間に皺を寄せて激強目ヂカラ砲を放ったまま、恐っろしい表情で私を睨み付けた。
「いや、あの、何も……」
Ｓ「はぁ？コレで何も無えってバカなのお前は…こんな独占欲丸出しのガキみてえな」
「いや、あの、分かんな……」
Ｓ「こんなん付けられて分かんないとかお前の神経どこに通ってて何を感じてんだ…あのくっそがきが…」
……やっぱり。
……こんな兄、いらないかも……。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっち(プロフ) - お互い好きだったんですか！？凄く甘々になって羨ましい〜 (2022年3月29日 22時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 随分前に読んでから好きで、最近ふと読みたくなってまた来ました。大好きです。 (2020年5月3日 10時) (レス) id: 2cd5a2ef25 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ebi信号さん» コメントありがとうです^^ 電車で読まれてのですね(笑) 私もこの翔さんには可愛がられたいのでお気持ちお察しです(笑) 楽しんで頂けたようなので本当に嬉しいです。他作品へのコメもありがとうございます！^^ (2019年10月12日 0時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - はい、ダメー。電車で読んじゃダメなヤツー！じわる涙我慢してたのに『くそ可愛がって貰え』って言葉で本気でウッって声が出ちゃったよ。隣にいた大学生の不審な目！もぉーやだ。お家帰って、もっかい読みなおしますー。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 15817c11d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 夏鈴さん» 楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ …って１日で！？それは有難いやら恥ずかしいやら…(笑) 私の想像＆妄想の世界を楽しんで頂けてホッとしています。そしてある程度のエロも欲しいよねと握手を交わせそうです(笑) (2018年8月22日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
