◇109 ページ11
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
アルバムの途中のページ。
隣のページから後ろには、写真が入ってるような感触はしなかったし、隣のページが空いてる事からもそれが分かる。
Ｓ「くそほど可愛いでしょ」
その写真の上に指を滑らせて、ゆるゆると彼女の頭の辺りを撫でながら。
ふんわり柔らかい微笑みを湛えながらも、櫻井さんの瞳はゆらゆらと揺れていた。
Ｓ「明日なんてね、急に来なくなんの」
すっ…と細められた瞳は、キラキラ輝いてるように見えて。
寄せられて眉間の皺を指で伸ばしてあげたくなるような表情をしてて。
Ｓ「明日こそ…明日こそ…なんて先延ばしにしてたらね、なーんにも出来なくなる事だってあんの」
ぎゅ…と目を瞑って。
ふぅ…と長めに息を吐く。
Ｓ「俺はね…良い人間なんかじゃないし優しくもねえんだ…もし本当に優しいなら、『ペット』だなんつってお前を傍に置いといたりしないよね」
ずっと、私の頭を撫でてる掌。
その指先が震えてるのが分かる。
櫻井さんはアルバムを撫でてた手を離すと、テーブルに置かれた缶を掴んで、ぐい…と残りのビールを飲み干した。
Ｓ「最初にお前を見た時からね、ずっと思ってたんだ、早く幸せになってくれよ…って」
どうしてだろう、視界が滲むのは。
悲しいから？
哀しいから？
Ｓ「なにしてんだよ…なにウジウジしてんだよ…大事な事を、来るかも分からない明日に、任せようとしてんじゃ、ねえよって…」
櫻井さんの顔がこっちに向けられて。
私を見た瞬間、きゅ…と苦しそうに切なそうに眉間に皺を寄せて。
Ｓ「お前がペットになってから…楽しかったよ、拗ねたり膨れたり、コロコロいろんな顔しやがって…」
ぐっ…と引き寄せられて。
お互いの肩に、お互いの顎を乗せるような姿勢になって。
すり…と寄せられる櫻井さんの頭と髪の感触に、堪らなくなって背中に腕を回した。
Ｓ「後悔も腐る程したよ…何してんだ俺…違うだろ？分かってるだろ？って何度も何度も思ったよ…」
すん…と鼻をすする音が耳に届いたのをきっかけに、私の涙腺は崩壊してしまって。
Ｓ「代わりにしてごめん」
視界の端には、アルバム。
Ｓ「お前は妹じゃないのに」
金髪をキラキラさせた笑顔の櫻井さんの隣には。
私によく似た女の子。
◇110 (2017/03/16)→←◇108 (2017/03/15)
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やっち(プロフ) - お互い好きだったんですか！？凄く甘々になって羨ましい〜 (2022年3月29日 22時) (
レス) @page50 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - 随分前に読んでから好きで、最近ふと読みたくなってまた来ました。大好きです。 (2020年5月3日 10時) (レス) id: 2cd5a2ef25 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - ebi信号さん» コメントありがとうです^^ 電車で読まれてのですね(笑) 私もこの翔さんには可愛がられたいのでお気持ちお察しです(笑) 楽しんで頂けたようなので本当に嬉しいです。他作品へのコメもありがとうございます！^^ (2019年10月12日 0時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - はい、ダメー。電車で読んじゃダメなヤツー！じわる涙我慢してたのに『くそ可愛がって貰え』って言葉で本気でウッって声が出ちゃったよ。隣にいた大学生の不審な目！もぉーやだ。お家帰って、もっかい読みなおしますー。 (2019年9月7日 20時) (レス) id: 15817c11d2 (このIDを非表示/違反報告)
黒衣(プロフ) - 夏鈴さん» 楽しんで頂けたようで嬉しいです♪ …って１日で！？それは有難いやら恥ずかしいやら…(笑) 私の想像＆妄想の世界を楽しんで頂けてホッとしています。そしてある程度のエロも欲しいよねと握手を交わせそうです(笑) (2018年8月22日 3時) (レス) id: 9cf8dc8670 (このIDを非表示/違反報告)
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