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twelfth kiss ページ12

俺は彼女が甘いものを好きだということを知らなかった。
ああやって、笑うことも知らなかった。
……なにも、知らないで、知った気でいたんだ


「甘いものって美味しいのか?」

A「美味しいですよ。ほら」

「うわ、甘そう…」

A「いやそうな顔しないでください!」

「でもAそれ食べなきゃダメだからね。忙しさにかまけて食べてないでしょ。ダイエットもダメだよ?勝手に痩せるんだから。」

A「私の体のこと知りもしないのに〜笑 あっ、美味しい」

一歩踏み出して、バレるかもしれないけど身を乗り出してみる
クロワッサンドーナツを頬張るAさんが見えた
幸せそうに笑っていた
それを男がじっと見る

A「なんですか…?渡しここでこれ食べるんで、先輩はご飯食べに行っても大丈夫ですよ?」

「いや、本当にうまいの?」

A「まぁ…気になるんですか?」

「苦手だけどさ、まぁ…気になる」

A「じゃあ…試します?」

ニコッと微笑み見上げたAさん
男はその頬を引き寄せ…深いキスした

「ほんとだ…甘い」



茫然自失とはこのことか
声が出てこない
足が棒のように、前にも後ろにも動かない
感覚がない

知りたくなかった
こんなあの人を知りたくなかった

俺意外にもキスする彼女を、知りたくなんてなかった…


ガッチャンッッッ

バッと2人が振り返る
Aさんと目がしっかり合った。
前のめりになり過ぎた俺の体が植木に当たり、腰の高さほどの気が廊下を横断するように倒れてしまった

A「たっ……みなみの…選手」



なんで?
なんで拓実って言おうとしてやめたの?
なんでそんな顔するの?

この間の光景が頭にぐるぐる回って、泣きそうなAさんを見て、頭から全てがぶっ飛んだ


南野「A…さん」

どんな関係もない
2人の間に、特別なにかがあるわけではない
そんなものはないのに…
この俺の気持ちはなんだろう
激しい独占欲は。


南野「誰にでもキスするんだ」

思わず口をついた言葉だった
言った瞬間、Aさんの顔がゆがんで、今にも泣きそうで俺まで苦しい

A「違う。違うよ?」

南野「なに?この間の俺とのこと覚えてるの?…それならもっとたち悪いな。そんな…女だったんだ」

離れる勇気もなにもないくせに、
俺は言った


南野「さよなら」


気づけば、背を向けて廊下を歩き、ボロボロと涙をこぼしていた

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こいちゃん(プロフ) - 久々におじゃましたら、更新されてたので嬉しいです!続きが気になります! (2015年7月20日 14時) (レス) id: 0f3dad7032 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:がらし | 作成日時:2014年10月12日 21時

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